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補助金ニュース / 中小企業収益力強化サポート事業

中小企業収益力強化サポート事業は12月14日まで。減益なら専門家が無料

公開: 2026年10月6日

東京都中小企業振興公社は10月1日、令和8年度に始まった「中小企業収益力強化サポート事業」の第2回募集を始めました。申込は12月14日(月)までの予定で、第1回と合わせて500社に達した時点で締め切られます。直近の決算で営業利益が前の期より減ったか、赤字になった都内の中小企業と個人事業主のもとへ、中小企業診断士などの専門家が最大6回、無料で訪問して計画づくりを手伝います。計画ができたら、その実行費用を最大300万円まで助成する助成金に申請できます。

私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領や募集要項を読むのが日課です。この事業は専門家派遣の募集要項と助成金の募集要項が別々に出ていて、両方を読むと、入口が助成金ではなく専門家派遣だと分かります。助成金だけを申し込むことはできず、お金が入るのは早くても来年です。そして公社の別の助成金「創意工夫チャレンジ促進事業」とは、どちらか一方しか使えません。申し込む前に知っておきたい点を、小さな会社と個人事業主の目線で整理します。

申し込めるのは、直近の決算で減益か赤字の都内事業者

条件の中心は決算の数字です。第2回の受付開始日である2026年10月1日の時点で、次のどちらかに当てはまる必要があります。

  • 直近の決算期の営業利益が、その前の決算期より減っている
  • 直近の決算期で営業損失(赤字)を出している

直近の決算期が2025年なら、2024年の決算期より営業利益が減っているか、2025年の営業利益がマイナスなら該当します。営業利益は、販売費と一般管理費を差し引いた後の金額です。売上が伸びていても、仕入れ値や人件費が上がって利益が削られていれば対象に入ります。

個人事業主の赤字は、確定申告の書類で判断されます。青色申告なら青色申告決算書の損益計算書にある「差引金額」、白色申告なら収支内訳書の「所得金額」がマイナスなら該当する、と募集要項に書かれています。前の年より減ったものの赤字ではない個人事業主がどう扱われるかは、募集要項からは読み切れませんでした。当てはまりそうな人は、申し込む前に事務局へ確認してください。

ほかに、都内に登記簿上の本店か支店があり、都内で実質的に事業をしていることが求められます。実質的に事業をしているかどうかは、ホームページ、名刺、看板、電話をかけたときの様子、従業員の雇用状況などを総合して判断されます。規模は中小企業基本法の中小企業者の範囲で、小売業と飲食業なら資本金5,000万円以下か従業員50人以下です。大企業が株式の半分以上を持っている会社などは外れます。

専門家が最大6回、無料で来る

支援の中身は、専門家が会社に通って一緒に計画を作る「伴走支援」です。1回あたり1時間半から2時間、原則として平日の日中に対面で行い、収益力強化計画ができるまでに最大6回来ます。費用はかかりません。

6回の流れは、目標設定、現状分析、課題の明確化、取組の方向性の確認、計画の提案、計画の策定、という順番です。財務状況の分析も含まれます。初回と最終回には、原則として代表者か決定権を持つ役員が同席します。

面談の場所は自社の本社や店舗、営業所です。喫茶店やファミリーレストランでは受けられず、事業所が使えない場合は貸会議室などを自分で用意します。派遣先は東京都と神奈川、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城、山梨の各県で、都外の拠点に来てもらえるのは本店の登記が都内にある事業者だけです。

事業サイトは、この事業の狙いを「大きな変革ではなく、現実的・地道な改善」と書いています。取組例も、飲食店が顧客分析でメニューを見直してフードロスを減らす、受託型の製造業が原価管理のツールを入れて価格転嫁につなげる、といった地に足のついたものです。新しい事業に打って出る余力はないが、利益が落ちていてどこから手を付けるか決めかねている会社に向けた制度だと読めます。

専門家派遣を受けられるのは1事業者につき1回だけです。審査で支援対象にならなかった場合は、次の募集回で申し込み直せます。

「作業を頼みたい」「助成金だけ欲しい」は対象外

募集要項は、支援の対象外になる申込をはっきり書いています。

  • 課題の解決方法や、導入するシステムの選定がすでに終わっている
  • 助成金を使うことだけが目的になっている
  • 申込企業が自分から主体的に申し込んでいない

1つ目の理由は、専門家の助言が要らなくなるからだと説明されています。買う機械やシステムがもう決まっている会社は、この事業の想定から外れます。

専門家の支援は助言だけで、作業の代行はしません。デルカモで広告テストをしたとき、問い合わせの約6割が「申請を代行してほしい」という相談でした。この事業の専門家は、計画書を代わりに書いてくれる人ではありません。最終的に決めて実行するのは自分の会社です。

ほかにも注意点がいくつかあります。公社や専門家とは秘密保持契約(NDA)を結べません。専門家は派遣元との契約で守秘義務を負っている、という扱いです。日程変更が3回以上になったり、1時間前に変更を連絡したりすると、支援を打ち切られることがあります。支援が決まると、会社の名称、所在地、業種、支援の概要が公社の実績として公表されることがあり、事例記事の取材への協力を頼まれる場合もあります。

助成金は最大300万円。申請できるのは計画を作った後

専門家と作った計画を実行する費用には、「中小企業収益力強化サポート助成金」を申請できます。上限は300万円で、助成率は対象経費の2/3以内です。賃上げ計画を立てて申請すると3/4以内、小規模企業者なら4/5以内に上がります。賃上げ計画を達成できなかったときは2/3に戻ります。

上限の300万円に届くのは、2/3なら経費450万円、3/4なら400万円、4/5なら375万円からです。募集要項の計算例では、経費が300万円の場合、通常は200万円で、賃上げ計画を達成すると中小企業は225万円、小規模企業者は240万円になります。

小規模企業者は、製造業などは従業員20人以下、卸売業、小売業、サービス業は従業員5人以下の事業者です。賃上げ計画には従業員が1人以上いることが必要で、従業員に払う給与の総額を基準となる期間より2.0%以上増やし、事業場で一番低い時給を地域別最低賃金より30円以上高くする、という条件がつきます。東京都の最低賃金は10月1日から1,280円なので、都内の事業場なら1,310円以上です。従業員のいない一人親方の個人事業主は、賃上げの上乗せを使えず2/3になります。

対象になる経費は、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、店舗等改装費、産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費、設備等導入費、システム等導入費、販売促進費の9区分です。どれも、専門家派遣で作った計画にもとづく取組の経費であることが条件です。機械や設備、システムで税抜単価10万円未満のものは対象になりません。1件の契約が税抜100万円以上になる経費は、2社以上の見積もりが必要です。

ここまでの助成率と経費の区分は、第2回専門家派遣の募集要項と、第1回助成金の募集要項に書かれている内容です。第2回の専門家派遣を受けた人が申請する助成金の募集要項はまだ出ていないので、細かい条件は変わる可能性があります。

お金が入るのは早くても来年

この事業でいちばん誤解されやすいのは時間です。順番に並べると、こうなります。

  1. 申込から、おおむね1週間で審査結果が届く
  2. 支援決定から3〜5か月ほどかけて、専門家が最大6回訪問する
  3. 計画ができたら助成金を申請し、交付決定を待つ
  4. 交付決定のあと、最長1年の期間内に発注から支払いまでを済ませる
  5. 実績報告、完了検査、金額の確定、請求を経て、助成金が振り込まれる

第2回の専門家派遣を受けた人は、いま受け付けている第1回の助成金(10月30日16時締切)には申請できません。次の助成金の受付は2027年1月頃の予定で、その後は四半期ごとに募集すると書かれています。10月に申し込んで専門家派遣に3〜5か月かかれば、計画ができるのは早くて年明け、遅ければ春です。

助成金は後払いです。費用はいったん全額を自分で払い、事業が終わってから原則1か月以内に実績報告を出します。完了検査のあと金額の確定までに1か月ほど、請求から支払いまでにさらに1か月ほどかかります。賃上げ計画で上乗せを受ける場合、上乗せ分は賃上げ計画の期間(事業が終わった翌月から最大12か月)を終えて達成が確認された後に、2回目として払われます。

発注のタイミングにも注意が要ります。助成対象期間より前に発注や契約をした経費は対象外です。クレジットカードで払っても、口座からの引き落としが期間の終わりを越えると対象から外れます。補助金で「先に買う」とどうなるかは補助金は交付決定前に発注NGにまとめています。

今月の資金繰りの助けになる制度ではありません。そこは割り切ったうえで、半年かけて利益の出る形に立て直す、という使い方になります。

創意工夫チャレンジとはどちらか一方しか使えない

公社には、対象者の条件がほぼ同じ助成金がもう1つあります。「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」です。こちらも直近の決算で営業利益が減ったか赤字の都内中小企業が対象で、助成限度額は600万円です。業務改善コースは助成率2/3、賃上げ重点コースは3/4(小規模事業者は4/5)です。

違いは計画を誰が作るかです。創意工夫チャレンジは、事業者が自分で計画を立てて申請します。収益力強化サポートは、専門家と一緒に計画を作ってから助成金に進みます。上限は創意工夫チャレンジのほうが倍あります。

そして、2つは併用できません。令和8年度に創意工夫チャレンジの交付決定を受けた会社は、収益力強化サポートに申し込めません。逆方向の縛りはもっと早くかかります。創意工夫チャレンジの各コースのページには、収益力強化サポート事業の「ハンズオン支援の決定通知を受けた方は申請を受付いたしません」とあります。助成金をもらう前、専門家派遣の支援が決まった時点で、上限600万円の創意工夫チャレンジには申請できなくなるということです。

創意工夫チャレンジの今後の受付は、業務改善コースの第3回が11月2日から13日16時まで、第4回が2027年2月1日から12日16時まで。賃上げ重点コースの第3回が12月1日から14日16時まで、第4回が2027年3月1日から12日16時までです。どちらも先着順ではなく、期間中の申請をすべて受け付けます。

個人的には、こう分けるのがいいと思います。何に投資すれば利益が戻るかが自分で見えていて、見積もりも取れるなら、創意工夫チャレンジを先に検討する。決算書を見ても、どこで利益が削られているのか自分では分からないなら、収益力強化サポートで専門家に来てもらう。迷ったまま収益力強化サポートに申し込むと、支援が決まった時点で上限600万円の選択肢が消えます。

申込に要る書類と、今やっておくこと

申込は事業サイトの申込フォームから行い、書類を添付します。

  • 直近3期分の決算書(貸借対照表、販売費及び一般管理費の内訳を含む損益計算書、法人税申告書の別表1〜2)
  • 個人事業主は、所得税の確定申告書の第一表と、収支内訳書か青色申告決算書
  • 法人は発行から3か月以内の履歴事項全部証明書、個人事業主は開業届の控え

創業から3年たっていないなど3期分がそろわない場合は、出せる期の分だけで構いません。決算書は税務署に提出したもののデータを出し、試算表の形では審査できないと書かれています。申込時に法人番号かGビズIDプライムの記載がないと、確認に時間がかかることがあります。

1つ気になった点があります。事業サイトの申込資格のページは、10月6日の時点で、判定の基準日を第1回の5月27日と書いたままです。第2回の募集要項では基準日は10月1日なので、要項のほうに合わせて判断するのが確実です。

助成金に進むときは、jGrants(国の補助金電子申請システム)で申請するので、GビズIDプライムのアカウントが要ります。助成金の申請は早くても年明けですが、発行に時間がかかることがあるので、専門家派遣を待つあいだに取っておくと安心です。取り方はgBizIDプライムの取得方法に書いています。

詳しい条件は中小企業収益力強化サポート事業のサイトと第2回の専門家派遣募集要項(PDF)、助成金は助成金のポータルサイトで確認できます。問い合わせ先は中小企業収益力強化サポート事務局(03-6868-7029、平日9時から17時)です。

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本記事は2026年10月6日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。

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