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記入例ライブラリ / 基礎知識

補助金は交付決定前に発注NG — 採択後すぐ買ってはいけない理由

最終更新: 2026-07-26

採択発表の日、うれしくてその足で設備を発注する——気持ちは痛いほど分かりますが、これをやるとその経費は1円も補助されません。補助金の失敗談でおそらく最多、かつ取り返しがつかないのが「交付決定前の発注」です。仕組みを一度理解すれば確実に防げます。

結論を先に: 「採択おめでとうございます」はまだゴーサインではありません。発注・契約・支払いは「交付決定通知」を受け取ってから。これだけ覚えて帰ってもらえれば、この記事の目的の8割は達成です。

採択と交付決定は別物

補助金には「合格」が2回あります。

  • 採択 — 「あなたの事業計画を補助の対象に選びました」という審査結果。計画が認められただけで、金額はまだ確定していません
  • 交付決定 — 交付申請(経費の精査)を経て「この経費に対して最大◯◯円を交付します」と確定する行政上の決定。ここが本当のスタートラインです

採択後の交付申請では、見積書などをもとに経費が1件ずつ精査され、対象外の経費が削られることもあります。つまり採択時点では「何にいくら補助されるか」が固まっていない。だから採択直後の発注は「まだ審査中の買い物」をしてしまうことになるのです。

お金を使えるようになるまでの流れ

  1. 申請 → 審査
  2. 採択発表(まだ買えない)
  3. 交付申請 — 経費の内訳・見積書を提出して精査を受ける
  4. 交付決定通知(ここから買える)
  5. 発注・契約・納品・支払い(=補助事業の実施)
  6. 実績報告 → 確定検査 → 入金

全体の流れと各ステップの所要期間は申請の流れの解説記事で詳しく解説しています。

なぜ交付決定前の発注はダメなのか

補助金は「補助事業として認められた取り組みに対して支払われるお金」です。交付決定前の買い物は、行政から見るとまだ補助事業が存在しない時期の、ただの自社の買い物。「補助金がなくても自力でやれた投資」と区別がつかないため、対象にできないのです。

架空の記入例よくある失敗例(架空)

カフェを営むAさんは、持続化補助金の採択発表を見てすぐ、計画に書いていたキッチンカーの改装を業者に発注。2週間後に届いた交付決定通知を見て安心していたが、実績報告の段階で「発注日が交付決定日より前」であることが判明し、改装費約120万円は全額補助対象外に。採択されていたのに、受け取れた補助金は0円だった。

最悪のケースはこれだけではありません。日付をずらした書類を作る等でごまかそうとすると、不正受給として交付決定の取消・返還・加算金、事業者名の公表まであり得ます。うっかりやってしまったら、隠さず事務局に相談してください。

交付決定前にやってよいこと・ダメなこと

やってよい(むしろやるべき)

  • 見積書を取る・比較する
  • 業者と仕様の打ち合わせをする
  • 交付申請書類を整える
  • 納期・スケジュールの下相談(発注はしない)
  • 自己資金・つなぎ資金の準備

ダメ(対象外になる)

  • 発注書を出す・契約書を交わす
  • 代金を支払う(前金・手付金・着手金も)
  • 納品を受ける・作業を開始してもらう
  • 「請求書は後日でいい」と口頭で着手依頼

グレーに見えるのが「口頭での着手依頼」です。書面がなくても、実質的に交付決定前に作業が始まっていれば対象外と判断され得ます。着手の合図は必ず交付決定通知の後に出してください。

対象期間 — いつからいつまでの経費が対象か

補助対象になるのは、原則として交付決定日から実施期限(補助事業実施期間の終了日)までに発注・納品・支払いが完了した経費です。つまり「早すぎる発注」だけでなく「遅すぎる支払い」も対象外になります。

  • 納品が実施期限に間に合わない → 対象外のおそれ。納期の長い設備は要注意
  • 支払いが期限後 → 対象外のおそれ。月末締め翌月払いの商習慣は期限との相性が悪いので前倒し相談を
  • 期限に間に合わない事情が出たら、諦める前に事務局へ(期限変更の手続きがある制度もあります)

例外 — 事前着手が認められる場合

ごく一部、災害対応や物価高騰対策などの緊急性が高い制度・公募回で「事前着手承認」——申請前や交付決定前の着手を特別に認める仕組み——が用意されることがあります。ただし、

  • 事前に承認申請が必要(勝手に着手してよいわけではない)
  • 承認されても不採択なら全額自己負担
  • 近年は縮小・廃止の流れ

という条件つきです。「原則は交付決定後。例外は公募要領に明記されている場合だけ」と覚えておけば間違いありません。

よくある質問

採択から交付決定までどれくらいかかりますか?
制度や提出書類の状況によりますが、交付申請の内容に不備がなければ数週間〜2ヶ月程度が目安です。交付申請で経費の見積書等を精査されるため、書類が揃っているほど早く進みます。
交付決定前に契約だけ済ませておくのはアリですか?
ナシです。多くの制度で「発注・契約・支払い」のすべてが交付決定後と定められています。契約日が交付決定日より前だと、その経費全体が対象外になるおそれがあります。
うっかり交付決定前に発注してしまいました。どうすればいいですか?
すぐに事務局に連絡して相談してください。当該経費は補助対象外になる可能性が高いですが、隠して実績報告を出すと不正受給を疑われ、取消・返還につながりかねません。正直に相談するのが最善です。

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本記事の失敗例は架空のものです。手続き・期間のルールは制度ごとに異なり、最新の公募要領・交付規程が優先されます。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。