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補助金ニュース / 製品開発着手支援助成事業

製品開発着手支援助成事業は11月18日締切。開発前の検証費を半額助成

公開: 2026年10月5日

東京都中小企業振興公社は10月1日、令和8年度「製品開発着手支援助成事業」の募集要項を公開しました。申請の受付は10月28日(水)から11月18日(水)17時までです。新しい製品や技術の開発に入る前に、素材や方式が本当に使えるのかを、外部の会社や大学の力を借りて確かめる費用の1/2を、10万円から100万円の範囲で助成します。都内の中小企業のほか、個人事業主と、都内でこれから創業する個人も申請できます。

私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、jGrants(国の補助金電子申請システム)に載る約300件の補助金を毎日同期しています。この助成金も令和8年度分が jGrants に登録済みで、受付期間は募集要項と同じ日付でした。28ページの募集要項を読んで分かったのは、対象になる開発の段階がかなり狭いことです。企画だけでは早すぎ、開発が始まっていたら遅すぎます。小さな会社と個人事業主の目線で整理します。

対象は「開発に入る前の技術検討」だけ

この助成金が見ているのは、製品の企画と本格的な研究開発のあいだにある段階です。公社はこれを「技術検討」と呼んでいます。使う部材を決めるために複数の素材を試験に出す、動作原理が成り立つかを確かめる、複数のアルゴリズムの処理能力を比べる。事業ページに載っている活用例はこういう作業です。

対象になるには、次の3つをすべて満たす必要があります。

  • 事業化を視野に入れた研究開発を始める前の技術検討である
  • 他の企業や大学、試験研究機関など、社外の力を使う
  • 委託費、外注費、共同研究費のどれか1つ以上を経費に入れる

自社の中だけで完結する検討は対象になりません。外に頼む部分があることが前提の制度です。

段階がずれていると対象外です。募集要項は、製品の企画段階で、その先の研究開発の計画がはっきりしていないものを外しています。基礎研究も対象外です。逆に、申請の時点で技術検討がほぼ終わっているもの、すでに研究開発の段階に入っているもの、量産段階の技術や売上が立っている製品も外れます。

公社のチラシには3問の判定チャートが載っています。新しい製品やサービスのアイディアがあるか。技術的な課題があるか。技術検討の先に、製品化から販売までを目指す具体的な計画があるか。3つとも「はい」なら対象の可能性が高い、という案内です。

既製品の模倣や軽微な改良、特定の顧客だけに向けた汎用性のない開発、他社の研究開発のための技術検討も対象外と書かれています。

個人的に一番いいと思ったのは、結果を問わない点です。事業ページには「技術検討の実施自体に対して助成するものであり、検討の結果、方針転換等をしても構いません」とあります。試した素材が使えないと分かって方針を変えることになっても構わない、ということです。申請書に書いた検討項目の一部を実施しなかった場合でも、技術検討が完了したと判断されれば、実施した分の経費は助成対象になります。ただし、申請書に書いた検討項目そのものを後から変更することはできません。

申請できる人。個人事業主と創業予定者も入る

対象は都内の中小企業者で、業種と創業年数の指定はありません。

  • 都内に登記簿上の本店か支店がある会社
  • 開業届で、納税地や主な事業所が都内にあると確認できる個人事業主
  • 都内での創業を具体的に計画している個人

基準日は2026年10月1日です。会社と個人事業主は、この日の時点で都内で実質的に1年以上事業をしているか、都内で創業して1年たっていないことが条件です。都内で創業した事業者なら、最初の決算を迎えていなくても申請できます。

創業予定の個人は、申請の時点の所在地が都外でも構いません。交付決定のあと速やかに開業して、開業届の写しか登記簿謄本を出します。

「会社」に含まれるのは株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、有限会社です。社会福祉法人、医療法人、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人、学校法人、LLP(有限責任事業組合)は対象外と明記されています。大企業が単独で株式の半分以上を持っている会社も、中小企業者として扱われません。事業協同組合などの団体や、複数社のグループで共同申請する枠もありますが、この記事では省きます。

製造設備を持たない会社でも申請できます。ただし、構想と企画、技術検討のあとの開発の主要な部分は自社で行うことが要件です。

実施場所は自社の事業所や工場で、原則として都内です。委託先など他社の場所は実施場所にできません。募集要項のQ&Aには、埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬、山梨の事業所でも申請は可能と書かれています。都内の拠点がバーチャルオフィスだけの場合は、公社が検査できる場所と、成果物や帳票を保管できる場所を別に用意すれば申請できます。

申請は同じ年度に1事業者1件までです。

助成額は10万〜100万円。外に頼む費用が必須

助成率は対象経費の1/2以内で、上限は100万円、申請の下限は10万円です。対象経費が20万円に満たないと申請できず、200万円で上限に届く計算です。消費税は対象経費に入りません。

経費の区分は2つだけです。1つは原材料・副資材費で、鋼材、機械部品、電気部品、化学薬品、試験用の部品など、技術検討で使い切るものが当たります。もう1つは委託・外注費で、委託費、外注費、共同研究費、市場調査費の4種類があります。

申請には、委託費、外注費、共同研究費のどれか1つ以上を必ず入れます。原材料費だけ、市場調査費だけの申請はできません。市場調査費は想定顧客のニーズを調べる費用で、調査を本業とする事業者に頼んだ場合に限られ、助成額は25万円までです。

たとえば、試験機関に材料の評価を税抜120万円で委託し、試験片の材料を税抜30万円で買うと、対象経費は150万円で、助成額の目安は75万円になります。

買えないものもはっきりしています。機械装置、工具器具、試作用の金型、ソフトウェアは、購入費も使用料も対象外です。規格や認証の取得費、特許などの産業財産権の費用、自社の人件費も出ません。

委託・外注費が認められないケースも3つ挙がっています。

  • 自社で内製できる作業を外に出した場合
  • 委託した業務の全部を、委託先がさらに第三者へ再委託・外注する場合
  • 成果物の所有権(ソフトウェアなら著作権)が自社に帰属しない場合

親会社や子会社、役員を兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社との取引も対象外です。委託先や購入先は都外でも海外でも構いません。

原材料は、購入ロットの最小数量ではなく、技術検討に必要な最小限だけが対象です。事業が終わった時点で使っていない残りは対象から外れます。

発注は2027年3月1日以降。お金が入るのはその先

10月28日から11月18日17時までに jGrants で申請します。書類審査が12月から1月、総合審査が2月上旬にあり、交付決定は2027年2月下旬の予定です。審査は書類審査と総合審査の2段階で、募集要項に面接の記載はありません。

助成対象期間は2027年3月1日から2028年2月29日までの最長1年です。契約(発注)、取得、実施、支払いのすべてを、この期間の中で終える必要があります。3月1日より前に発注したり支払ったりした分は対象になりません。見積書だけは、それより前の日付でも構いません。

助成金は後払いです。技術検討と支払いがすべて終わった日の翌日から15日以内に実績報告書を出し、公社の職員が実施場所に来て完了検査をします。金額が確定してから請求し、振込まではさらに1か月ほどかかります。それまでは全額を自分で立て替えます。

支払い方法にも決まりがあります。自分の名義の口座からの振込が原則で、現金払いは税込10万円未満で振込が難しい場合に限られます。クレジットカードは本人名義(法人は法人名義)のカードを使い、引き落としまで助成対象期間内に終わること、リボ払いや分割払いでないことが条件です。手形や小切手は一切認められません。

採択は年に15〜18件。テーマの書き方に型がある

公社は年度ごとの採択一覧を公開しています。件数を数えると、令和4年度15件、令和5年度15件、令和6年度18件、令和7年度16件でした。一覧に申請件数は載っていないので、採択率は計算できません。分かるのは、この4年、採択が20件に届いたことのない小さな制度だということです。

令和7年度の16件のテーマを見ると、水上用ドローンの推進安定性と遠隔操作技術、AI外観検査システムの筐体形状、蚕粉末のサプリの機能性と安全性の検証、IoTスマートゴミ箱の開閉機構、多言語の音声感情解析の推定手法、と分野はばらばらです。機械や素材だけでなく、AIやサプリメントのテーマも通っています。

テーマ名はどれも「○○の研究開発における××の検討」という形です。公社の申請書記入例でも、申請テーマの欄がこの形になっています。何を作りたいのかと、今回の助成で何を確かめるのかを分けて書かせる様式です。ここが1文で書けないなら、まだ企画の段階だと考えたほうがいいと思います。

審査で見られるのは、研究開発全体の市場性と新規性・優秀性、そして技術検討の必要性、妥当性、実施体制です。経理面では財務内容と事業予算も見られます。

申請者の規模も見ておきます。令和7年度は16件のうち4件が合同会社で、会社の種類がつかない屋号での採択も1件あります。令和5年度の一覧には個人名での採択も載っています。交付決定を受けると、事業者の名称、所在地、申請テーマが公表されます。屋号のない個人事業主と創業予定者は、氏名が出ます。

採択後の縛り。作ったものは5年間売れない

技術検討で作った製作物には、助成事業が完了した年度の翌年度から5年間の保存義務があります。そのあいだは販売できません。試作した1台をそのまま最初の顧客に売る、という使い方はできないということです。

技術検討のあとに完成させた製品を売り始められるのは、完了検査の翌日からです。それより前に販売や営業活動をすると、助成事業が取り消されます。完了後も2年間、年度ごとに状況を報告する義務が続きます。

ほかの補助金との関係も決まっています。国や自治体の補助金に同じテーマで並行して申請するのは構いませんが、両方に採択されたら片方を辞退します。公社のほかの助成事業に、同じテーマと経費で並行して申請することはできません。募集要項は併願先の例に「ものづくり補助金等」を挙げていますが、ものづくり補助金は第23次で終わり、後継の制度に移っています。経緯はものづくり補助金は23次で終了。後継の第1回は10月30日締切に書きました。

去年との違いと、今から準備すること

jGrants に残っている令和7年度の掲載内容と比べると、今年は手続きが少し軽くなっています。去年の申請書の提出期間は11月4日から18日までの2週間で、その前に公社のホームページで事前エントリーを済ませる必要がありました。今年は10月28日からの3週間で、募集要項にも事業ページにも事前エントリーの記載はありません。

書類は早めに集めておくほうが安全です。法人は発行から3か月以内の履歴事項全部証明書、個人事業主は開業届の写しを出します。納税証明書は、法人が法人事業税と法人都民税、個人事業主が個人事業税と住民税です。国税ではないので税務署では取れず、都税事務所と区市町村の窓口で取ります。確定申告書は直近2期分で、創業2年未満なら1期分です。創業1年未満の事業者と創業予定者は組み合わせが変わるので、募集要項の12ページと13ページの表で確認してください。

1つ注意があります。募集要項は、申請書を公社様式のExcelのまま提出するよう指示しています。ところが10月5日の時点で、事業ページからリンクされている提出書類の案内ページには、申請書を「PDF形式に変換し」て出すと書かれています。同じ公社の案内どうしで食い違っているので、提出前に事務局へ確認するのが確実です。

jGrants での申請にはGビズIDプライムのアカウントが要ります。GビズIDの公式サイトによると、書類を郵送して申請する場合の審査期間は最大1か月です。今日から書類で申請すると、発行が11月に入るおそれがあります。法人の代表者がオンラインで申請する場合は、審査が速やかに行われると案内されています。取り方はgBizIDプライムの取得方法にまとめています。

もう1つ、代行について。デルカモで広告テストをしたとき、問い合わせの約6割が「申請を代行してほしい」という相談でした。この助成金は jGrants の代理申請機能に対応していて、行政書士などに申請の作成を頼めます。ただし、内容の確認と提出は申請者本人が行い、受付後の手続きも本人がします。そして、技術検討を頼む委託先や外注先の事業者とその従業員は、代理申請を請け負えません。試験を頼む会社に申請までまとめて任せる形は取れないので、何を確かめたいのかは自分の言葉で書くことになります。

詳しい条件は公社の製品開発着手支援助成事業のページと令和8年度の募集要項(PDF)で確認できます。問い合わせ先は東京都中小企業振興公社 助成課「製品開発着手」担当(03-3251-7894、受付は9時から17時)です。

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本記事は2026年10月5日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。

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