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持続化補助金の 書き方。 審査は ヒアリングなし、 様式2で 決まる
公開: 2026年9月14日

持続化補助金の書き方でつまずくのは、ほぼ様式2です。第20回の公募要領は、採択審査を「提出資料により行い、提案内容に関するヒアリングは実施しません」と書いています。口頭で補う機会はないので、電子申請に打ち込んだ経営計画と補助事業計画が、そのまま採否になります。
私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、jGrantsに載る公募を毎日同期し、公募要領を日常的に読んでいます。この記事は2026年7月21日公開の第20回公募要領(第8版)を一次情報にして、様式2の書き方だけを整理したものです。経費の内訳(様式3)や第20回の変更点は別記事に回します。
先に線を引いておきます。デルカモは申請書類の作成代行はしません。ここに書くのは「審査が何を見ているか」と、自分で書くときの順番です。文例はすべて架空で、そのまま提出する文章ではありません。
第20回で、 書く 前に 押さえる 数字
一般型・通常枠の第20回は、申請受付が2026年11月5日(木)から12月15日(火)17時まで。申請には地域の商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要で、その発行受付は12月4日(金)までです。様式4の発行には面談があり、締切後の依頼は理由を問わず受け付けてもらえません。採択発表は2027年3月頃の予定、補助事業の実施期限は2028年3月31日です。
補助上限は50万円。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両方を満たすと200万円が上乗せされ、最大250万円になります。補助率は3分の2、賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3です。特例は実績報告の時点で要件を満たせないと、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。
申請は電子申請のみで、GビズIDプライムが必要です。暫定アカウントは使えません。要領は取得に数週間程度かかると書いてあるので、11月の受付開始を待ってから取りにいくと、様式4の12月4日に間に合わないことがあります。
窓口は事業所の所在地で分かれます。商工会地区は official.jizokukanb.com、商工会議所地区は r6.jizokukahojokin.info です。数字は申請直前に、自分の地区の最新要領で確認してください。
審査が 見ているのは、 基礎審査と 計画審査の 4項目
審査は有識者の委員会が非公開で行い、結果の中身についての問い合わせには応じないと要領にあります。見られる観点は大きく2段です。
基礎審査は失格判定です。提出資料がそろっているか、対象者・対象事業・経費の要件に合っているか、事業を自分で回せるか、小規模事業者が主体で、自社の技術やノウハウに基づく取組か。ここを外すと、文章の巧拙以前に落ちます。
計画審査が、いわゆる「書き方」の本体です。総合評価の高いものから採択するとあり、見られる項目は次の4つです。
- 自社の経営状況分析の妥当性。製品やサービス、強みと弱みを把握しているか
- 経営方針・目標と今後のプランの適切性。強み弱みと市場・顧客ニーズを踏まえ、売上高と売上総利益の増加を目指しているか
- 補助事業計画の有効性。目標が客観的事実に基づき、実現可能で、方針を達成するために必要か。新しい価値やデジタル技術の活用、取得資産を事業終了後も使い続ける見通しがあるか
- 積算の透明・適切性。計画に必要な経費か、金額が正確で本当に要る額か
4番は様式3の経費明細とセットで見られます。様式2だけ美しくても、経費が計画と噛み合っていないとここで減点されます。
もうひとつ、注意事項の一文が書き方の前提になります。「事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、自らが検討していなかったことが発覚した場合、評価に関わらず不採択・交付決定取消」です。テンプレの使い回しや、業者が書いた文章をそのまま貼るのは、要領が正面から禁じています。第三者の支援を受けた場合は、商工会・商工会議所を除く相手方と、着手金・成功報酬を含む金額を様式2に書かないと虚偽報告になります。
ヒアリングはないので、「書けていないことは、やっていないこと」として読まれます。
様式2は 経営計画と 補助事業計画の セット
電子申請で直接入力するのは、申請書(様式1)、経営計画兼補助事業計画①(様式2)、補助事業計画②(様式3)です。様式2が文章、様式3が経費の内訳、という分担です。
要領上、補助対象になるのは「策定した経営計画に基づく販路開拓」か、「販路開拓とあわせて行う業務効率化」です。ホームページを作りたい、機械を買い替えたい、だけでは足りません。その支出が、どの顧客に、何を、どう売るかにつながるかまで書く必要があります。
補助対象事業の要件には、事業効果報告の時点で売上高と売上総利益が補助事業終了時より増える見込みがあることも入っています。申請時に、市場や顧客ニーズの分析、営業方針、新規取引や値上げの見込みなどの根拠と、定量的な成果を様式2に書くよう求められています。逆に、概ね1年以内に売上につながることが見込まれない事業(試作品開発だけで販売の見通しがない、など)は対象外です。
書く順番は、経費から入らないことです。先に「誰に何を売るか」「今どこで止まっているか」「補助金で何が変わるか」を決める。決まってから、その手段としてチラシなのかサイトなのか展示会なのかを選ぶ。順番を逆にすると、4項目のうち③の有効性で折れます。
経営計画の 書き方。 数字の ある 「今」から 入る
計画審査の①と②は、ほぼ経営計画の欄です。欄の名前は電子申請画面のラベルに合わせてください。書く中身は、次の4点をこの順でつなぐことです。
いまの事業。 何を、誰に、どこで売っているか。創業年、従業員数、主な商品、客単価、主な販路。従業員数の線引きは、商業・サービス業(宿泊・娯楽を除く)が常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他が20人以下です。会社役員と同居の親族はここに数えません。対象者の話は基礎審査ですが、経営計画の冒頭で業態が曖昧だと、審査側は以降の文章を信じにくくなります。
顧客と市場。 「地域の高齢化が進んでいる」だけでは足りません。自店の客層の変化、近隣の競合、単価や来店頻度の推移など、自社で観測できる事実を書く。公的統計を使うなら、出典と年を添える。要領が「客観的なデータ」と書いているのは、ここです。
強みと弱み。 強みは「丁寧な接客」のような誰にでも書ける言葉より、他店が簡単に真似できない事実です。予約のリピート率、特定メニューの構成比、職人の資格、仕入れ先との関係。弱みは、その強みが届いていない場所です。例えば「常連はいるが、商圏の外側に知られていない」「店頭以外の注文手段がない」。弱みを隠すと、次の補助事業が「なぜ今それなのか」を説明できなくなります。
方針と目標。 売上高と売上総利益を、いつまでに、いくらにするか。補助事業終了時と、その後1年の着地を数字で置く。目標は強みを伸ばす方向か、弱みを埋める方向か、どちらか一言で言えるようにする。ここが「チラシを配る」「サイトを作る」だけだと、②の適切性で落ちます。チラシやサイトは手段で、方針ではありません。
過去に持続化補助金で採択され実施した事業者は、前回と異なる事業であることを様式2の所定欄に書く必要があります。同じ事業に見えると不採択、採択後に判明しても取り消されます。前回の結果を踏まえた計画か、明確に新しい取組かも審査対象です。
補助事業計画の 書き方。 「何を するか」より 「誰の 何が 変わるか」
計画審査の③が、補助事業計画です。要領が繰り返し求めているのは、ターゲットの顧客や市場にとって新しい価値があるか、売上高と売上総利益の増加につながるか、自社にとって実現可能か、です。デジタル技術の活用と、買った資産を補助事業終了後も使い続けることも、ここに入っています。
書くときは、次の4つを一文でつながるようにします。
- 誰に(既存客か、商圏の外側か、年齢や利用シーン)
- 何を(既存商品の新しい売り方か、改良か、新しい提供方法か)
- どうやって知らせ、届けるか(広報、サイト、展示会、店頭の動線)
- それが売上と粗利にどう効くか(客数、単価、リピート、新規取引)
事業名は、経費名を並べないことです。「ホームページ制作およびチラシ配布事業」より、「近隣の新規客に平日ランチを知ってもらい、客数を戻す」のほうが、③の有効性と対応します。
取組内容は、実施時期、担当、発注先の種類、成果物まで落とします。「周知を強化する」は方針の言い換えで、計画ではありません。「11月にメニュー写真を撮り、12月にランディングページを公開し、1月から半径2キロに折込を月2回入れる」のように、第三者が後から検証できる粒度にします。ヒアリングがないので、この粒度が唯一の証拠です。
効果は、経営計画で置いた売上・粗利の目標と数字を一致させます。補助事業の効果欄だけが突然大きくなると、①②と③が別の会社の話に見えます。根拠は、客数×単価、既存客の来店頻度、見込んでいる新規取引の件数など、計算式が見える形にする。
業務効率化(生産性向上)は任意ですが、入れるなら「販路開拓とあわせて行う」取組に限ります。レジを新しくする、予約をデジタル化する、は単独では通りにくく、新しい客の取り方とセットで書く必要があります。要領は、業務効率化の経費を申請時に所定欄と経費明細へ計上していないと、あとから足せないとまで書いています。
ウェブサイト関連費と広報費は、それぞれ補助金交付申請額の上限が30万円(税込)で、その経費だけの申請はできません。サイトを作りたいだけの計画は、書き方以前に経費ルールで弾かれます。サイトやチラシは、販路開拓の手段の一部として他の経費と組み合わせる前提で書いてください。
よく ある 崩れ方。 要領が すでに 想定している もの
公募要領と注意事項を読むと、落ち方はだいたい型が決まっています。
手段から書き始めている。 「ホームページが古いので作り直す」は、弱みの指摘であって補助事業計画ではありません。誰に何を売るかが先、サイトはその手段、の順に直します。
数字がない。 「売上が増える見込み」だけでは、対象事業の要件を満たしません。現状の売上、目標、差分、計算の根拠を置きます。概ね1年以内に売上につながらない取組は、対象外の例として要領に明記されています。
自社で検討した跡がない。 業者のテンプレ、他店の事例の言い換え、ChatGPTの一般論は、注意事項の「自らが検討していない記載」に当たります。固有名詞、自店の数字、自店で見た客の変化が入っていない文章は、書き直したほうが早いです。
第三者支援を隠している。 有料・無料を問わず、商工会・商工会議所以外の支援を受けたら様式2に相手と金額を書きます。書かないと虚偽報告として不採択または取消です。高額なアドバイス料への注意喚起も、要領の冒頭にあります。
代理人だけで窓口に行っている。 様式4の発行依頼や相談を、社外の代理人だけで行うことはできません。代表者本人が計画の内容を説明できる必要があります。様式4発行の際、代表者に計画内容を直接確認する場合があると要領にあります。
交付決定前に発注する前提で書いている。 補助金は後払いで、自己負担が必要です。交付決定通知書の日付より前の発注・契約・支払いは対象外です(展示会の出展申込だけ例外で、請求は決定日以後)。計画のスケジュールが「採択前に発注して間に合わせる」になっていると、書いた時点で対象外です。
前回と同じ事業に見える。 過去に実施した持続化補助金と同じ取組は不採択です。機械の買い替え更新、単なる会社案内のパンフレット、求人広告も、経費例の対象外に並んでいます。
架 空の 記入例。 飲食店で、 書く 順番だけ 見る
以下は架空の個人経営の食堂です。実在の店ではなく、欄のつなぎ方を見るための例です。数字も仮です。
経営計画の「今」には、創業12年、席18、従業員2人(本人以外)、客単価980円、昼の来店が1日35組、うち常連がおよそ7割、夜は近隣の事業所の帰り需要、と置きます。顧客と市場には、半径1キロの事業所数がここ3年で減り、昼の組数が40組から35組に落ちた一方、駅側の新築マンション入居が始まっている、と自店で数えた事実を書きます。強みは日替わり定食のリピートと仕込みの速さ、弱みは駅側の新しい住民に店を知られていないこと、予約もテイクアウトも電話だけなことです。
方針は、2028年3月までに昼の組数を35から42に戻し、客単価を1,100円まで上げ、売上総利益を増やす。手段は、駅側の住民向けに週替わりの家庭用メニューを昼のテイクアウトで出し、注文をフォームでも受け、半径2キロに月2回の折込を入れる、とします。補助事業計画の事業名は「駅側の新規定食需要を取るためのテイクアウト導線の整備」で、サイト制作事業にはしません。
効果の計算は、組数+7×客単価1,100円×営業日、のうちテイクアウトが何組かを分けて書きます。経費はウェブサイト関連費(フォーム付きの案内ページ)と広報費(折込)と、テイクアウト用の保温容器や掲示物など、計画を実行するために他区分が必要になる形にします。サイトだけ、チラシだけでは申請できません。
この例で見せたいのは文の上手さではなく、①現状の数字、②届いていない客、③その客に届ける手段、④売上と粗利の計算、が一本につながっていることです。業種が違っても、つなぎ方は同じです。
書く 前に 済ませておく こと
文章より先に、次の3つを動かしてください。
GビズIDプライム。未取得なら先に登録します。要領は数週間程度と書いています。11月5日の受付開始から取りにいくと、様式4の12月4日に間に合わないことがあります。アカウントとパスワードを第三者に渡すのはGビズIDの利用規約違反です。
様式2の下書き。電子申請の入力画面を印刷して、商工会・商工会議所に様式4の発行を依頼します。発行側は計画の内容と書類の過不足を確認します。12月4日を過ぎた依頼は受け付けてもらえないので、文章は10月中に一通り書いて、11月上旬には窓口へ予約を入れる前提で動きます。
見積。採択後、交付決定までに価格の妥当性を示す見積が必要で、提出期限は2028年2月29日です。1件50万円超(税込)は原則2者以上の見積です。交付決定前に発注はできませんが、見積を取っておくことと、計画の金額を見積に寄せておくことは今からできます。
対象かどうか迷う人は、従業員数、開業日(申請日より後なら対象外)、過去の持続化補助金の事業効果報告書の提出状況を、要領の「補助対象者」「補助対象外となる事業者」で先に確認してください。医師、系統出荷のみの個人農業者、創業予定者は対象外の例に挙がっています。
自分で書くか、どこまで人に頼むかの線引きは、別の記事に書きました。
関連記事: 補助金申請は自分でできる。代行に頼む前に知ってほしいこと
共同・協業型は申請者が商工会や組合側なので、自分で出す一般型とは別物です。
関連記事: 持続化補助金〈共同・協業型〉は商工会や組合が出す型。第3回の要点
持続化補助金の一般型は、小規模事業者が自分の言葉で経営を書き直すことが、要領の目的そのものです。書き方の本丸は技巧ではなく、自店の数字と、誰に何を売るかの一本の線です。業種とやりたいことから、今出せる制度を先に確かめたい人は、デルカモの無料診断を使ってみてください。
本記事は2026年9月14日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。
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