補助金ニュース / 東京都 創業助成金
東京都の 創業助成金、 第2回は 10月8日締切。 採択は 約6人に 1人
公開: 2026年9月30日

東京都と東京都中小企業振興公社の「創業助成事業」は、令和8年度第2回の申請受付を9月29日に始めました。締切は10月8日(木)23時59分で、受付はわずか10日間です。都内で創業を予定している個人か、創業から5年未満の個人事業主・会社が対象で、家賃や広告費、従業員の人件費などの2/3を、100万円から400万円の範囲で助成します。ただし、東京都などが指定する23の創業支援のどれかを、申請の時点で使っていないと申請できません。
私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、jGrants(国の補助金電子申請システム)に載る約300件の補助金を毎日同期しています。この助成金も jGrants に新しく掲載され、今朝の同期で引っかかりました。90ページある募集要項を読むと、申請できる人とできない人の線引き、お金が入る時期、書類で落ちるポイントがかなりはっきり書いてあったので、個人事業主と小さな会社の目線で整理します。
最初に 確認する こと。 指定の 創業支援を 使っていないと 出せない
この助成金で一番の関門は、募集要項で「申請要件2」と呼ばれている条件です。東京都や公社、区市町村、金融機関などが実施する23の創業支援事業のうち、どれか1つを利用していることが求められます。個人事業主や創業予定の人に身近なのは、このあたりです。
- TOKYO創業ステーションの「プランコンサルティング」で事業計画書づくりの支援を終え、過去3年以内に終了証を受けている
- 区市町村の「認定特定創業支援等事業」で支援を受け、過去3年以内に区市町村長の証明を受けている
- 東京都の制度融資(創業)か、区市町村の創業者向け制度融資(東京信用保証協会の保証付き)を利用している
- 東京商工会議所などで、認定特定創業支援等事業に準ずる支援を受け、過去3年以内に証明を受けている
ほかにも、都の創業支援施設への入居や、都が実施するアクセラレーションプログラムの採択などが並んでいます。全23項目は募集要項の9ページから14ページにあります。
注意したいのは、要件を満たしているかどうかを「公社が申請書を受理する時点」で判断することです。プランコンサルティングは要件を満たすまで概ね3か月かかると公社自身が書いています。プランコンサルティングを今日から始めても、10月8日の締切には間に合いません。今回の第2回に出せるのは、すでにどれかの支援の要件を満たしている人です。
細かい落とし穴を1つ。商工会議所の支援で認められるのは東京商工会議所のものだけで、八王子や武蔵野、青梅、立川などの商工会議所の支援は対象外と明記されています。多摩地域の人は、自分がもらった証明書の発行元を確認してください。
申請できる人。 経営経験は 「通算5年未満」
支援の要件とは別に、申請者本人の条件もあります。対象は3通りです。
- 都内での創業を具体的に計画している個人
- 税務署に開業届を出してから5年未満で、納税地と主な事業所が都内にある個人事業主
- 設立登記から5年未満で、本店が都内にある会社の代表者
会社は株式会社や合同会社などに限られ、一般社団法人や一般財団法人、組合、LLPは対象外です。一定の条件を満たすNPO法人も申請できますが、この記事では省きます。
見落としやすいのが経営経験の数え方です。開業届から5年未満であるだけでなく、代表者本人の経営経験が通算5年未満でなければなりません。個人事業主の期間と、会社の登記上の代表者だった期間を足して数えます。以前に別の会社で社長をしていた期間や、海外での経営経験も含みます。逆に、開業届を出さずにフリーランスとして働いていた期間は含みません。
ほかに、他の人の事業を引き継いだり譲り受けたりした場合は対象外です。バーチャルオフィスだけで都内に実際の拠点がない場合も申請できません。
いくら出るか。 家賃と 広告費が 中心で、 事業費は 必須
助成率は対象経費の2/3以内、助成額は下限100万円、上限400万円です。つまり対象経費が150万円以上ないと申請額が下限に届きません。
対象経費は3つの区分に分かれていて、それぞれに天井があります。
- 事業費(家賃などの賃借料、広告費、器具備品、特許などの出願費、専門家の指導料)と従業員人件費を合わせて、助成額300万円まで
- 委託費(市場調査・分析)は助成額100万円まで
- 事業費を入れずに、人件費や委託費だけで申請することはできない
たとえば都内で家賃月15万円の店舗を借り、2年間の助成対象期間を通して払うと、家賃だけで360万円です。その2/3の240万円が助成の目安になります。家賃を払い続ける創業者にとって、ここが一番効く使い道だと思います。
ただし、対象外になる経費も多いです。敷金や礼金、保証金、仲介手数料、更新料は家賃に含められません。自宅兼事務所で、仕事のスペースが間仕切りで区切られていない場合も家賃は対象外です。広告費ではホームページの制作は対象になりますが、ネットショップや予約・決済のシステム、有料会員サイトは対象外です。器具備品は1点が税込1万円以上50万円未満のものに限られ、中古品や車両は認められません。
人件費は、正社員が1人あたり月35万円、パート・アルバイトが日額8,000円までが対象です。専門家の指導料は、顧問契約や、この助成金の申請書を作ってもらう代行費用には使えません。
お金が 入るのは、 早くても 2027年の 秋
ここは申請前に必ず頭に入れてほしい点です。この助成金は完全な後払いで、しかもスタートが遅い。
10月8日に申請を締め切ったあと、書類審査の結果が12月中旬ごろに jGrants で届きます。通過した人は2027年1月6日から14日のあいだに面接を受け、最終的な結果と交付決定は3月上旬に届きます。交付決定日は3月1日の予定です。
経費として認められるのは、原則としてこの交付決定日以降に契約して、支払ったものだけです。家賃と人件費に限っては、それより前に結んだ契約でも対象になりますが、支払いはやはり助成対象期間の中のものに限られます。助成対象期間は交付決定日から6か月以上2年以内で、終わってから実績報告と検査を経て支払われます。6か月を過ぎれば1回だけ中間払いを受けられますが、それでも最短で2027年9月以降です。
募集要項には、助成金がなくても事業を実施できる資金計画であることが申請要件として書かれています。審査の視点にも「助成金の交付がない場合でも、事業継続が可能な収支計画であるか」が挙がっています。助成金をあてにした資金繰りでは、そもそも通りません。
創業前の個人と個人事業主には、もう1つ注意があります。助成対象期間の途中で会社を設立すると、助成金を受け取れなくなります。法人化を考えているなら、基準日である2027年1月5日までに登記を済ませて、所定の書類を出す必要があります。創業前の個人として申請した場合は、交付決定のあとに開業届を出してから契約や支払いをしてください。開業前の支出は対象になりません。
採択は 約6人に 1人。 書類に 不備が あると 中身を 見る 前に 落ちる
公社は過去の申請者数と採択者数を公開しています。令和7年度は申請1,225人に対して採択201人で、採択率は約16.4%でした。令和6年度は1,053人中208人で約19.8%、令和5年度は1,060人中157人で約14.8%です。ここ3年は、ほぼ5〜7人に1人しか通っていません。
審査は書類審査、面接、総合審査の3段階です。書類では、商品やサービスの中身と価格が具体的か、想定する顧客と競合との違いがはっきりしているか、収益の仕組みと資金計画に無理がないか、といった点を見ると募集要項に書かれています。
中身の前に、書類の不備でつまずく人もいます。公社は事業ページと jGrants の両方で、不備があれば「原則として書類審査で不通過となります」と明記し、不備の多いポイントを挙げています。そのうち4つを抜き出します。
- Excelの申請書の一部のシートだけをPDFにしてしまっている
- 法人なのに、法務局で取る履歴事項全部証明書(発行から3か月以内)ではなく、ネットで取った登記情報を出している
- 納税証明書の税目や年度が違う、または納税証明書ではなく領収書を出している
- 創業支援を使った証明として、所定の書類と違うものを出している
申請は jGrants からの電子申請だけで、GビズIDプライムのアカウントが必要です。GビズIDの公式サイトによると、書類を郵送して申請する場合の審査期間は7月から最大1か月に延びました。締切まで8日しかないので、まだ持っていない人はマイナンバーカードでのオンライン申請ができるか、今日のうちに確認してください。取り方はgBizIDプライムの取得方法にまとめています。
今回出せない 人は、 次の 募集に 向けて 要件2から 始める
過去の採択情報を見ると、この助成金は平成29年度から毎年度、第1回と第2回の2回募集されてきました。令和8年度の第1回は4月7日から16日まででした。次の令和9年度の日程はまだ発表されていませんが、今回の要件2に間に合わなかった人は、プランコンサルティングや区市町村の特定創業支援を今のうちに始めておくのが一番の近道です。3か月かかる準備を締切直前に始めても、受付は10日間しかありません。
もう1つ、私の見立てを書いておきます。デルカモで広告テストをしたとき、問い合わせの約6割が「申請を代行してほしい」という相談でした。この助成金は、その発想と相性がよくありません。面接には代表者本人しか入れず、パソコンや追加資料、商品サンプルの持ち込みもできません。手元にあるのは自分で出した申請書だけです。誰かに作ってもらった計画書では、面接で数字の根拠を聞かれたときに詰まります。採択されれば、個人事業主や創業予定の人は本名と事業概要が公社のホームページで公表されることも、申請前に知っておいてください。
詳しい条件はTOKYO創業ステーションの創業助成事業ページと第2回の募集要項(PDF)で確認できます。問い合わせ先は東京都中小企業振興公社 創業支援課 創業助成担当(03-5220-1142、平日10時から17時)です。
自分の業種と地域で使える補助金をまとめて知りたい方は、デルカモで確認できます。
関連記事: 東京都のデジタルツール助成金は1月29日まで。個人事業主も対象
本記事は2026年9月30日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。
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