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スマートレジ補助金は 9月29日締切。 小規模事業者なら 4/5補助
公開: 2026年9月9日

飲食料品の消費税を2027年4月から1%に下げる政府の基本方針が8月5日に閣議決定され、経済産業省は「税率の変更に柔軟に対応できるスマートレジ」の普及を補助金で後押ししています。使う制度はデジタル化・AI導入補助金のインボイス枠(インボイス対応類型)で、小規模事業者なら補助額50万円までは経費の5分の4が出ます。タブレットやレジ周辺機器も対象で、スマートレジの申請は3次締切分から優先採択の扱いです。次の締切は2026年9月29日火曜の17時です。
私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領を日常的に読んでいます。今回は8月28日に更新されたインボイス枠の公募要領と、事務局が9月2日に公表した申請数と交付決定数を読みました。先に正直な結論を書くと、優先採択とはいえ3次締切分の採択率は44.7%で、申請すれば通る補助金ではありません。何が加点になり、何が減点になるのかまで含めて整理します。
2027年4月から 食料品の 消費税が 1%に なる。 だから 今スマートレジなのか
8月5日に閣議決定された「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針には、令和9年(2027年)4月1日から2年間、軽減税率の対象になっている飲食料品の消費税率を1%にすると書かれています。同じ文書の中に「消費税率の変更に柔軟に対応できるシステムの普及促進を図る」という一文があり、これがスマートレジ推しの根拠です。
ここで押さえてほしいのは、閣議決定されたのは「基本方針」だという点です。税率を変えるには消費税法の改正が要り、基本方針にも「必要な法制上の措置を可及的速やかに講ずる」とあるだけで、法律はまだ変わっていません。ただ、補助金のほうは法改正を待たずに動いています。経済産業省は4月30日に赤澤大臣が錦糸町商店街を視察してスマートレジの普及を業界団体に要請し、6月15日からはデジタル化・AI導入補助金でスマートレジ導入の加点を強化、同じ日に全国47都道府県のよろず支援拠点へ特別相談窓口を置きました。
スマートレジとは何か。経済産業省の定義では、タブレットやスマートフォンなどの汎用機器をレジ端末として使うモバイルPOSレジのことで、売上や在庫や顧客情報をクラウドでまとめて管理できるものを指します。雑に言えば、iPadに専用アプリを入れて使うレジです。税率の設定を画面から変えられるので、従来のガチャレジやメカレジのようにメーカーの改修を待つ必要がない、というのが「柔軟に対応できる」の意味です。
使う枠は インボイス枠。 小規模事業者は 補助額50万円まで 4/5
デジタル化・AI導入補助金には5つの枠がありますが、スマートレジで使うのはインボイス枠のインボイス対応類型です。会計、受発注、決済のいずれかの機能を持つソフトウェアと、それを動かすハードウェアの導入費用が対象になります。
補助率と上限はこうなっています。
- ソフトウェアと導入関連費は、補助額50万円以下の部分が4分の3、小規模事業者は5分の4。50万円を超える部分は規模を問わず3分の2
- 補助額の上限は、会計・受発注・決済のうち1機能だけなら50万円、2機能以上なら350万円
- ハードウェアは2分の1で、PCやタブレットが補助額10万円まで、レジと券売機が20万円まで。下限はない
小規模事業者の線引きは、商業とサービス業が常時使用する従業員5人以下、宿泊業と娯楽業が20人以下、製造業その他が20人以下です。会社役員と個人事業主本人は従業員に数えません。従業員3人の飲食店や、家族でやっている小売店はここに入ります。個人事業主も申請できます。
数字だけだと分かりにくいので、仮の例で計算します。従業員3人の飲食店が、会計と決済の2機能を持つクラウド型のレジソフトを導入設定込みで40万円(クラウド利用料は最大2年分まで対象)、レジ端末にするタブレットを8万円、キャッシュドロワとレシートプリンタとカードリーダーを合わせて12万円で入れるとします。ソフトは40万円の5分の4で32万円、タブレットとレジ周辺機器は合計20万円の2分の1で10万円。導入費60万円に対して補助が42万円、自己負担は18万円です。
ハードウェアで気をつけたいことが2つあります。ひとつは、ハードウェアだけの申請はできず、必ずソフトウェアと一緒に申請すること。もうひとつは、レジとして使うタブレットや専用端末を補助対象にするには、組み合わせるソフトウェアに「決済」機能があることです。公募要領は3月30日の改訂で、POSレジ用のハードウェアは決済機能を持つソフトで登録されたレジシステム用のものに限ると書き換えられました。会計機能だけのソフトにタブレットを付けても、そのタブレットはレジ用途の補助対象にはなりません。付属品として認められるのはキャッシュドロワ、カスタマーディスプレイ、レシートプリンタ、自動釣銭機、カードリーダー、バーコードやQRコードのリーダー、Wi-Fiルーター、運搬費に限られます。ハードウェアはソフトウェアを買うのと同じIT導入支援事業者から購入する決まりです。
優先採択の 中身は 加点。 3次締切分の 採択率は 44.7%だった
事務局は8月28日に「スマートレジシステムの導入に係る申請について、3次締切分から優先採択を行っております」と告知しました。公募要領で確認すると、実体は審査の加点項目です。5月15日の改訂で「導入するITツールとしてスマートレジを選定していること」が加点項目に加わり、8月28日の改訂で加点項目の冒頭に「特に、この取組みを重視する」という一文が入りました。
加点を受ける条件が細かいので、そのまま書きます。レジ本体(POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機)を導入する場合は、ソフトウェアとハードウェアの両方が事務局に「スマートレジ」として登録されている必要があります。ハードウェアを入れずソフトだけの場合は、ソフトが「スマートレジ」として登録されていれば加点です。登録するのは販売側のIT導入支援事業者なので、見積もりをもらう段階で「この製品はスマートレジとして登録されていますか」と聞いてください。ここが「はい」でないと、モバイルPOSレジを入れても加点は付きません。
では加点があればどれくらい通るのか。事務局が9月2日に更新した申請数と交付決定数を、インボイス枠(インボイス対応類型)だけ抜き出します。
- 1次締切分は申請4,324件に対して交付決定2,027件で46.9%
- 2次締切分は申請3,790件に対して交付決定2,096件で55.3%
- 3次締切分は申請3,982件に対して交付決定1,781件で44.7%
スマートレジの加点が始まった3次締切分は、申請が約4,000件で採択率は44.7%でした。半分以上が落ちています。加点はあくまで他の申請との相対評価の中で効くもので、「スマートレジなら通る」という制度ではないことは、数字で見ておいたほうがいいと思います。
減点の項目も読んでおいてください。IT導入補助金2022から2025までの間に交付決定を受けた事業者は減点され、そのときと同じ機能(会計、受発注、決済)のツールを入れる場合はさらに減点されます。2026年の通常枠に申請中、または交付決定を受けている事業者も減点です。過去にIT導入補助金を使った事業者は、賃上げ計画の策定も申請要件になります。1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばす3年計画を作って従業員に表明することが求められ、未達なら補助金の返還です。初めて使う事業者にはこの要件はありません。
締切は 9月29日17時。 準備で 一番 時間が かかるのは GビズID
インボイス枠(インボイス対応類型)の5次締切分は2026年9月29日火曜17時が締切で、交付決定は11月9日の予定、導入と実績報告の期限は2027年4月30日の予定です。5次で通れば、11月に契約して年内に導入し、2027年4月の減税開始に間に合わせる流れが組めます。9月29日に間に合わない場合、6次締切が10月30日金曜17時、7次締切が12月1日火曜17時と事務局が公表しています。
申請の前に済ませておく手続きは3つです。
- GビズIDプライムの取得。事務局の案内では発行までおおむね2週間。9月29日に出すなら、今週中に申請しないと間に合いません
- SECURITY ACTIONの宣言。IPA(情報処理推進機構)の自己宣言制度で、一つ星か二つ星を宣言します。IDの発行はおおむね2〜3日
- IT導入支援事業者を決めること。この補助金は事務局に登録された販売事業者と共同で申請する仕組みで、自分ひとりでは申請できません。登録済みの製品の中から選び、申請書類も一緒に作ります
順番を間違えやすいのが契約のタイミングです。交付決定の前に契約、発注、納品、支払いをしたものは補助金の対象になりません。減税が近いからと先にレジを買ってしまうと、その時点で補助金は使えなくなります。見積もりまでは進めて、契約は11月の交付決定を待ってください。
申請は1法人または1個人事業主につき1回で、同時に複数の申請はできません。不採択だった場合は次の締切に出し直せます。なお、締切日の前日と当日は事務局のコールセンターも申請マイページも混み合うと事務局が注意喚起しています。書類がそろっているなら、締切の週より前に提出しておくのが無難です。
相談先は 各都道府県のよろず支援拠点。 来年度の 予算も 要求されている
どのレジにするか、自分の店が小規模事業者に当たるか、加点の登録があるかといった相談は、6月15日から全国47都道府県のよろず支援拠点に置かれた「スマートレジシステムの普及に向けた特別相談窓口」で受けています。無料の公的相談窓口で、補助金の申請そのものの相談もできます。
この施策が来年度も続くのかも気になるところだと思います。中小企業庁が公表した令和9年度の概算要求のポイントには、中小機構への交付金6,980億円の中に「省力化・デジタル化・AI投資補助金」が置かれ、別に「消費税・インボイス特別相談窓口・広報事業」として94億円が計上されています。後者の説明文には、消費税減税の影響を受ける中小企業への相談窓口や税理士派遣と、スマートレジ普及のプロモーションを行うと書かれています。ただし概算要求は要求の段階で、年末の予算編成で変わります。今年度の枠で申請できる人は、来年度を待つ理由はありません。
この補助金は2026年度からIT導入補助金が名前を変えたもので、共同申請の仕組みや事前準備の考え方は次の記事に書きました。制度の全体像を先に見たい人はこちらからどうぞ。
関連記事: IT導入補助金は2026年から名前が変わった。新制度の要点
レジの入れ替えと一緒に券売機や配膳ロボットまで考えているなら、省力化投資補助金のほうが合う場合もあります。デルカモでは、業種とやりたいことを選ぶと、使える可能性のある制度を補助率と締切つきで無料で表示しています。どの制度が本命かを先に整理したい人は、一度試してみてください。
本記事は2026年9月9日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。
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