デルカモ
← 戻る

補助金ニュース / 事業承継・M&A補助金 16次

事業承継・M&A補助金の16次公募、受付は10月2日から11月6日まで

公開: 2026年9月7日

事業承継・M&A補助金の16次公募の公募要領が2026年9月4日に公開されました。申請の受付は10月2日金曜から11月6日金曜の17時まで。親族や従業員に会社を継がせる予定がある事業者の設備投資に最大800万円(賃上げをすれば1,000万円)、M&Aで事業を売る小規模事業者の仲介手数料に最大450万円が出ます。中小企業だけでなく、開業と青色申告の承認申請から5年以上たった個人事業主も申請できます。

私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領を日常的に読んでいます。今回は事業承継促進枠(69ページ)、専門家活用枠の小規模売り手支援類型(70ページ)、廃業・再チャレンジ枠(48ページ)の3冊を読み、5月に出た15次の要領とも突き合わせました。先に結論を書くと、要件も補助額も15次から変わっていません。変わったのは日程だけです。

受付は10月2日から11月6日17時。採択は12月下旬以降

正式名称は「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金」で、持続化補助金と同じ「中小企業生産性革命推進事業」の一つです。事務局が公表しているスケジュールはこうなっています。

  • 公募申請の受付は2026年10月2日から11月6日17時まで。要領には「厳守」とあり、締切を過ぎた申請は受け付けられません
  • 採択は12月下旬以降に順次。交付申請の受付が2027年1月上旬から始まり、交付決定は1月下旬以降
  • 補助事業の期間は交付決定から14か月以内。事業の実施期間は2028年3月中旬までの予定

申請はjGrants(国の電子申請システム)だけで、郵送や持ち込みはありません。jGrantsを使うにはGビズIDプライムのアカウントが要り、中小企業庁は取得に2〜3週間かかると案内しています。10月2日の受付開始を待ってからアカウントを作り始めると、それだけで10月後半になります。未取得なら今週中に申請してください。

事務局のオンライン説明会は10月9日金曜の14時からで、申込みは9月9日から10月7日17時までです。

4つの枠がある。個人でも使えるのは3つ

この補助金は目的の違う4つの枠に分かれています。

事業承継促進枠は、これから親族や従業員に事業を継がせる予定の会社や個人事業主が、後継者主導で行う設備投資に使う枠です。専門家活用枠は、M&Aで事業を買う側と売る側が、仲介業者やファイナンシャルアドバイザー(FA)に払う費用に使う枠。売る側の中でも従業員数が少ない小規模事業者向けに、小規模売り手支援類型という専用の型があります。PMI推進枠はM&Aで会社を譲り受けた後の経営統合にかかる専門家費用と設備投資が対象で、クロージングから3年以内の案件に限られます。そして廃業・再チャレンジ枠は、M&Aで売れなかった事業を畳んで次に進む人のための枠です。

小規模事業者や個人事業主に直接関係するのは、事業承継促進枠、小規模売り手支援類型、廃業・再チャレンジ枠の3つです。以下この3つを順に見ていきます。

事業承継促進枠は「5年以内に親族か従業員に継がせる」会社の設備投資

対象になるのは、公募申請の締切日である2026年11月6日から5年後の2031年11月5日までに事業承継を完了する予定の事業者です。ここで先に押さえてほしいのは、すでに代表を交代した会社は対象にならないという点。事務局のよくある質問に、公募申請終了日より前に承継が行われた場合は対象外と明記されています。承継を「これからする」人向けの補助金です。M&Aで第三者に売る承継も、この枠では対象外です。

後継者にも条件があります。法人なら、その会社の役員として3年以上、または従業員として3年以上働いた経験がある人、もしくは現経営者の親族で代表経験がない人。個人事業なら、その事業で3年以上雇われていた人か、親族です。親族の範囲は六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族と定められています。

会社側の条件は、法人なら3期分の決算と申告が終わっていること。個人事業主は、開業届と青色申告承認申請書を税務署に出してから5年が経っていることで、白色申告の人は申請できません。個人事業主の場合は、今の事業主と後継者の共同申請が必須です。

補助率は対象経費の2分の1で、小規模事業者に当たる場合は3分の2になります。小規模事業者の線引きは、製造業などが従業員20人以下、卸売・小売・サービス業が5人以下、宿泊業と娯楽業が20人以下です。補助の上限は800万円。補助事業が終わった翌年度に従業員1人当たりの給与支給総額を3%以上上げると、上限が1,000万円に広がります。ただし800万円を超える部分の補助率は2分の1に下がり、賃上げが未達だった場合は引き上げ分(最大200万円)の返還を求められます。補助の下限は100万円なので、対象経費が150万円から200万円に届かない小さな投資は入口で対象外です。

対象経費は設備費、産業財産権の取得費用、専門家への謝金、販路開拓の旅費、外注費、委託費。設備費には店舗や事務所の改装工事も含まれます。一方で、現経営者から土地や資産を買い取る費用は対象外です。あくまで後継者が会社を伸ばすための投資に出る補助金で、承継そのものにかかるお金には出ません。

事業計画では、付加価値額(営業利益と人件費と減価償却費の合計)か1人当たり付加価値額を年3%ずつ伸ばす5年計画を出します。この計画と承継の見込みについて、認定経営革新等支援機関(税理士や金融機関など国の認定を受けた支援者)の確認書を取ることが必須です。要領には、締切直前に頼んでも間に合わない場合があるとわざわざ書かれています。正直に書くと、この枠でいちばん引っかかるのは補助率でも上限でもなく、この確認書と「すでに承継済みは対象外」の2点だと思っています。

M&Aで売る側の小規模事業者は、小規模売り手支援類型で上限450万円

後継者がいなくて第三者に事業を譲る場合は、専門家活用枠です。従業員数が上の小規模事業者の基準に収まるなら、小規模売り手支援類型を使います。補助率は3分の2、上限は450万円で、下限はありません。対象になるのは仲介業者やFAへの手数料、デュー・ディリジェンス(買い手が行う財務や法務の調査)の費用、セカンドオピニオン、表明保証保険料などです。売り手側にデュー・ディリジェンスの実施は求められていません。

ここで注意が2つあります。ひとつは、仲介やFAの費用が補助されるのは、中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録された業者に限られること。もうひとつは、交付決定の前に結んだ契約の費用は対象にならないことです。すでに仲介業者と契約して動いている案件は、この補助金には乗りません。これから相手探しを始める段階の人向けです。

補助事業の期間である14か月以内にクロージング(最終契約と取引の実行)まで進まなかった場合、上限は50万円に下がり、対象は着手金とシステム利用料、デュー・ディリジェンス費用だけになります。売却が成立してはじめて上限450万円が生きる設計です。

なお従業員数が小規模事業者の基準を超える売り手は、通常の売り手支援類型で補助率2分の1(赤字や営業利益率の低下があれば3分の2)、上限600万円、デュー・ディリジェンス費用を申請する場合は800万円。買い手側は補助率3分の2で上限は同じく600万円から800万円です。中小企業庁の公表資料に載っている上限2,000万円は、売上高100億円を目指す「100億企業特例」の買い手だけの数字なので、小規模事業者には関係ありません。

廃業・再チャレンジ枠は単独でも併用でも使える

M&Aで事業を譲り渡せなかった会社の株主や個人事業主が、事業を畳んで新しい挑戦をするときに使う枠です。廃業登記を頼む司法書士の費用、在庫の処分費、建物や設備の解体費、借りていた店舗の原状回復費、リースの解約金、土壌汚染の調査費などが対象になります。在庫を売って対価を得る場合の処分費は対象外です。

単独で申請するときの補助率は3分の2、上限は300万円、下限は50万円。対象経費が75万円に届かないと申請できません。事業承継促進枠と併用するなら300万円、小規模売り手支援類型と併用するなら150万円が上乗せされます。承継促進枠との併用は、後継者が継いだ後に一部の事業を畳むケースを想定したものです。

加点は13項目。過去の賃上げ未達は減点になる

事業承継促進枠の審査には13の加点項目があります。使いやすいものを挙げると、事業承継・引継ぎ支援センターか中小機構の地域本部の支援を受けて事業承継計画を作ること、経営力向上計画や経営革新計画の認定を持っていること、従業員1人当たりの給与支給総額を2%以上上げると表明すること、代表者がアトツギ甲子園に出場していること、米国の追加関税の影響を大きく受けていること、などです。上限を1,000万円に上げる賃上げ要件は3%、加点の賃上げは2%と、数字が違うことに気をつけてください。

減点の規定もあります。公募申請時点から過去18か月の間に、中小企業庁が所管する他の補助金で賃上げ加点の要件を達成できなかった事業者は、正当な理由がない限り大幅に減点されます。ものづくり補助金や持続化補助金で賃上げ加点を取って未達のままの会社は、この点を先に確認したほうがいいです。

要件は15次と同じ。15次で間に合わなかった人はそのまま出せる

15次の受付は6月19日から7月24日でした。今回、5月に出た15次の事業承継促進枠の要領と9月の16次の要領をテキストで突き合わせたところ、違いは回次の表記と日付だけでした。補助率、上限と下限、後継者の要件、加点の13項目、賃上げの3%と2%、すべて同じです。承継の対象期間が2031年11月5日まで、補助事業の開始が2027年1月下旬に後ろ倒しになった以外に、中身の変更はありません。

つまり15次に向けて準備していて確認書が間に合わなかった人や、GビズIDの取得で出遅れた人は、計画を書き直す必要なくそのまま16次に出せます。逆に、これから初めて動く人にとっての最短経路は、GビズIDプライムの申請、認定支援機関への相談、事業承継計画の骨子づくりを同時に始めることです。11月6日まで2か月ありますが、確認書の取得を考えると余裕はさほどありません。

承継の予定がない設備投資なら、別の制度を見る

この補助金の設備投資は、あくまで事業承継が前提です。後継者がまだ決まっていない、あるいは自分の代でしばらく続ける前提で機械や設備を入れたいなら、省力化投資補助金の第8回のほうが素直です。要点はこの記事に書きました。

関連記事: 省力化投資補助金の第8回公募要領が公開。締切は10月中旬予定

国の制度はこの補助金ですが、都道府県や市区町村にも事業承継や第三者への引継ぎを支援する制度が別にあります。デルカモでは、jGrantsに載っている募集中の公募を毎日同期して、業種とやりたいことから使える制度を上限額・補助率・締切つきで無料で表示しています。申請先を決める前に、一度覗いてみてください。

デルカモの無料診断(無料・約1分)を試す

あなたの事業で使える補助金、金額つきで確認できます。

業種とやりたいことを選ぶだけで、使える可能性のある制度を金額・締切・出典つきでお見せします。無料・約1分。

本記事は2026年9月7日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。

最近の記事