補助金ニュース / 新事業進出補助金 採択率
新事業進出補助金の 採択率は 33.9%。 全4回の 結果を 並べた
公開: 2026年10月2日

中小企業新事業進出補助金(以下、新事業進出補助金)の第4回公募の採択結果が、2026年9月30日に中小企業庁から発表されました。応募1,499者に対して採択508者、採択率は33.9%です。同じ発表には「本公募回をもって新事業進出補助金については公募を終了しました」とあり、これが最後の採択発表になりました。後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、第1回の申請受付が9月30日に始まっていて、締切は10月30日18時です。
私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領や採択結果の公表資料を日常的に読んでいます。今回は第1回から第4回まで、事務局が出している採択結果の概要資料4本を全部開いて、採択率のほかに業種別と申請額別の数字を並べました。後継制度に出すか迷っている人に向けて、数字から言えることと言えないことを分けて書きます。
第4回は 応募1,499者、 採択508者
第4回の公募期間は2026年3月27日から6月19日まででした。採択された508者のうち224者は、米国の追加関税措置で影響を受けた事業者向けの優先採択(審査での加点)の対象です。採択者の4割強が、関税の影響を申告した事業者だったことになります。
数え方にも決まりがあります。複数の事業者が連携して申請した場合は、何社が組んでいても1者として数えます。公募期間中に取り下げられた申請は、応募数に入っていません。
4回の 採択率は 37.2%から 33.9%へ
過去の回を並べます。応募数と採択数は事務局の公表値で、採択率はそこから私が計算したものです。
第1回(2025年7月15日締切)は応募3,006者・採択1,118者で37.2%。第2回(2025年12月19日締切)は2,350者・832者で35.4%、第3回(2026年3月26日締切)は1,212者・423者で34.9%、そして第4回が1,499者・508者で33.9%です。4回を合計すると、応募8,067者に対して採択2,881者、通算の採択率は35.7%になります。
回を追うごとに1ポイント前後ずつ下がってはいますが、ざっくり言えば「3社に1社」の制度でした。応募数は第1回の3,006者から第3回の1,212者まで6割減り、第4回で少し戻しています。応募が半分以下になっても採択率はほとんど動いていません。空いていそうな回を狙って出す作戦には、意味がなかったことになります。
関税の加点対象が採択者に占める割合は、第1回が52.8%、第2回が53.6%と半分を超え、第3回は41.6%、第4回は44.1%でした。ただ、応募者のうち何者が加点対象だったかは公表されていません。加点を取った人がどれくらいの率で通ったのかは、計算できません。
製造業は 2件に 1件、 宿泊・飲食は 4件に 1件
概要資料には、申請者の既存事業の業種ごとに応募数と採択数が載っています。4本を並べて一番差が出たのがここでした。
製造業は第4回で266者中133者が採択され、ちょうど50.0%。4回の合計でも1,558者中771者で49.5%と、毎回ほぼ2件に1件が通っています。建設業は4回合計で1,237者中458者の37.0%、卸売業・小売業は1,180者中400者の33.9%で、全体の平均に近い数字です。
低かったのは宿泊業・飲食サービス業で、第4回は147者中35者の23.8%。4回の合計でも808者中211者の26.1%で、どの回も30%に届いていません。飲食店や宿の経営者が新しい事業に打って出る計画は、4件に1件しか通っていない計算です。
なぜこれだけ差がつくのかは、公表資料には書かれていません。業種そのものが審査で不利なのか、出てくる計画の中身に傾向があるのかは、この数字からは切り分けられません。それでも、飲食や宿泊の事業者が出すなら、平均の35%ではなく26%のほうを自分の目安にしておくのが安全だと私は思います。
申請額1,000万円未満は 採択率が 低い
申請額の帯ごとの数字も出ています。新事業進出補助金は補助下限額が750万円で、それより小さい申請はできません。そのうえで、一番小さい「500万円以上1,000万円未満」の帯は、4回とも全体の採択率を下回りました。第1回が411者中117者で28.5%、第2回が271者中58者で21.4%、第3回が174者中40者で23.0%、第4回が222者中60者で27.0%です。全体との差は7〜14ポイントありました。
第4回だけで見ると、申請額1,500万円未満の480者は採択率26.7%、1,500万円以上の1,019者は37.3%です。下限に近い小さな計画ほど通りにくい傾向が、4回を通じて続いています。
これも理由は書かれていません。金額が小さいこと自体が不利なのか、小さい計画に特定の業種や企業規模が多く含まれているのかは、公表資料の粒度では分かりません。ひとつ言えるのは、補助下限ぎりぎりまで計画を削って「小さく出せば通りやすい」と考えるのは、数字の上では逆だということです。
後継の 新事業進出枠は、 金額の 枠組みが そのまま
後継の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には、革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3枠があります。このうち新事業進出枠の金額は、第4回の新事業進出補助金と同じです。補助下限額は750万円、補助上限は従業員20人以下で2,500万円、21〜50人で4,000万円、51〜100人で5,500万円、101人以上で7,000万円。賃上げ特例を使うと、それぞれ3,000万円、5,000万円、7,000万円、9,000万円に上がります。補助率は1/2で、最低賃金の引上げ特例に当たると2/3です。
ただし、事務局の特設サイトには、新制度は「中小企業新事業進出補助金」とも「ものづくり補助金」とも異なる補助金だと明記されています。審査の中身も同じではありません。旧制度の第4回公募要領には、米国の関税措置による影響を具体的に書く欄がありました。新制度の第1回公募要領(9月28日更新版)の加点項目には関税の加点が見当たらず、関税は審査項目の「政策面」で、中東情勢などと並ぶ経済社会の変化の一例として触れられているだけです。採択者の4割強から5割強を占めていた関税の加点が形を変えた以上、旧制度の35.7%をそのまま新制度の見込みに当てはめることはできません。
もっと小さな計画で考えている人は、革新的新製品・サービス枠も見てください。補助下限額は100万円で、小規模事業者の補助率は2/3です。上限は従業員5人以下なら750万円と小さくなります。ただしこの枠は新製品や新サービスの開発が条件で、機械を入れて既存の作業を効率化するだけの計画は対象外です。
第1回の 締切は 10月30日18時
新制度の第1回は、9月30日18時に申請受付が始まりました。応募締切は10月30日18時で、事務局は「厳守」と書いています。採択発表は2027年1月の予定です。旧制度も第2回以降は、締切から採択発表まで97〜103日かかっていました。
気をつけたいのが口頭審査です。新制度の公募要領では、一定の審査基準を満たした事業者の中から、必要に応じてZoomなどでの口頭審査を行います。時間は1者15分程度。予約案内は電子申請を終えた事業者から順に送られ、予約は先着順です。締切間際に出すと選べる日時が限られ、対象になったのに受けなかった場合は不採択になります。10月30日に間に合えばいい、ではなく、早く出し切った人ほど有利な作りです。
口頭審査に答えるのは、社長や個人事業主本人、社内の担当者に限られます。計画書を手伝ったコンサルタントや社外の顧問は、同席もできません。書類づくりを外に頼む場合も、自分の計画を自分の言葉で15分説明できるところまでは、自分で持っておく必要があります。
後継制度ができた経緯と、3枠の違いや準備の順番は、ものづくり補助金の終了を扱った記事にまとめています。
関連記事: ものづくり補助金は23次で終了。後継の第1回は10月30日締切
750万円の下限に届かない計画や、新製品の開発を伴わない設備投資なら、ほかに合う制度があるかもしれません。デルカモでは、jGrantsに載っている募集中の公募を毎日同期して、業種とやりたいことから使える制度を上限額・補助率・締切つきで無料で表示しています。
本記事は2026年10月2日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。
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