補助金ニュース / 熊本地震 支援パッケージ
熊本地震の 支援パッケージ決定。 事業者が 使える 支援を 整理した
公開: 2026年8月30日

8月27日、政府が令和8年熊本地震の「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を決定しました。被災した事業者向けには、施設・設備の復旧費を最大4分の3補助する制度や、持続化補助金の災害支援枠が入っています。この記事では、事業者が使える支援の中身と「いつから申請できるのか」を、パッケージ本文と経済産業省の公表資料で整理します。
私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領や官公庁の発表を毎日読んでいます。地震の直後、8月9日に「復旧費用の補助金はすぐには出ない。あとから来る」という記事を書きました。それから3週間、予告どおり、あとから来ました。
復旧補助の 本命は 「自治体連携型補助金」
事業者にとっての本命は、工場・店舗・生産機械など施設・設備の復旧費を補助する「自治体連携型補助金」です。経済産業省が8月28日に公表した資料に、数字がはっきり書かれています。
- 補助上限は1事業者あたり3億円。過去の災害でも被災した「多重被災事業者」は15億円
- 補助率は最大4分の3。多重被災事業者は5億円まで全額(10分の10)の定額補助
- 事業全体の枠は通常の40億円から120億円に引き上げ。中小企業だけでなく中堅企業も対象
全額補助という水準は、通常の補助金ではまず見ません。今回の被災地は平成28年熊本地震、令和2年7月豪雨、令和7年の大雨に続く被災で、パッケージ本文はこれを「四重苦」と表現しています。繰り返し被災した事業者への特例として、能登半島地震などで使われた「なりわい再建支援補助金」並みの手厚さに引き上げた、という位置づけです。
注意してほしいのは、この記事を書いている8月30日時点で、公募はまだ始まっていないことです。熊本県のサイトも8月28日更新の時点では、事業者向けは相談窓口と融資制度の案内までで、復旧補助金の受付は載っていません。制度の枠と金額が決まった段階であり、申請書を出せる段階ではまだありません。「多重被災事業者」の正確な線引きも、公募要領が出たときに確認が必要です。
小規模の 店なら持続化補助金の 災害支援枠
上限3億円と聞いて自分には関係ないと感じた人向けに、もっと小さい規模の枠も用意されています。小規模事業者持続化補助金の災害支援枠です。
補助上限は直接被害で200万円、間接被害で100万円。補助率は3分の2で、多重被災事業者は定額補助になります。対象になるのは、機械装置の復旧や販路再開に向けた取り組みの経費です。
この枠の入口は商工会・商工会議所です。制度の建て付け上、商工会や商工会議所の支援を受けて経営計画を作ることが前提になっています。つまり公募開始を待つ間にできる準備は、地元の商工会・商工会議所とつながっておくことです。会員でなくても相談はできます。
商店街向けには別枠もあります。アーケードや街路灯の復旧は補助率2分の1で上限なし、にぎわい創出のイベント等は上限100万円で、直接被害を受けた商店街なら全額補助です。ほかに、自治体が整備する仮設施設(入居料は原則無料)、ガソリンスタンドやLPガス供給拠点の復旧補助、被災した酒類に係る酒税相当額の還付特例など、業種別の措置も並んでいます。自分の業種に当たりそうなものがあるかは、経済産業省の資料(1枚もの)を直接見るのが早いです。
借りる 枠は 3階建てになった
8月9日の記事で、国が最初に出したのは融資と保証だったと書きました。その保証の枠が積み上がっています。
まず、災害救助法が適用された地域などを対象にした「セーフティネット保証4号」。信用保証協会が融資額の100%を、通常の保証とは別枠の上限2.8億円まで保証します。これは発災直後から動いていました。
そこに8月25日の閣議決定で「災害関係保証」が加わりました。対象は中小企業の被害が大きかった御船町、八代市、宇城市、氷川町、嘉島町の5市町です。罹災証明を受けた事業者は、セーフティネット保証4号とさらに別枠で、もう2.8億円分の100%保証を使えます。内閣府が8月12日に公表した当初の見込みでは御船町と八代市の2つでしたが、最終的に5市町に広がりました。政令は8月28日公布・施行の予定と発表されています。
この5市町では、日本政策金融公庫の災害復旧貸付の金利も1,000万円を上限に0.9%引き下げられます(貸付後3年間)。通常の保証、セーフティネット保証4号、災害関係保証と、借りる枠が3階建てになったうえで、金利も下がる。復旧補助金の入金は着工よりずっと後になるのが普通なので、それまでの資金繰りはこの枠で組み立てることになります。
九州ふっこう 応援割は 10月1日宿泊分から
宿泊や飲食など観光まわりの事業者には、直接の補助ではなく客足を戻す方向の支援が入りました。「九州ふっこう応援割」です。観光庁の資料によると、九州での1泊以上の旅行・宿泊料金を50%、キャンセルの影響が大きい熊本県と鹿児島県は60%割り引きます。対象は10月1日の宿泊分からで、割引の上限は宿泊単体で1泊2万円、交通付きの2泊以上で3万円、2県以上をまわる周遊型で3.5万円です。
スキームは観光庁が九州各県に補助金を交付し、県ごとに実施する形です。予約をいつから受けられるかなど実務の詳細は、県ごとの発表を待つことになります。宿泊事業者や旅行業者は、自分の県の観光部局の情報を見ておいてください。
応援割が始まるまでのつなぎとして、外食需要の回復に向けた熊本県の取り組みを国が支援することもパッケージに明記されています。雇用面では雇用調整助成金の特例措置も入っています。要件の詳細は厚生労働省の発表で確認してください。
いま動ける ことは 3つ
申請はまだできませんが、待っている間にできることはあります。
- 罹災証明書を取る。復旧補助も災害関係保証も、被害の証明が起点になります。今回は申請時の写真添付を原則不要にする運用もパッケージに入っており、取得のハードルは下がっています
- 商工会・商工会議所か特別相談窓口(7月29日から熊本県内の各支援機関に設置済み)に相談する。持続化補助金の災害支援枠は商工会・商工会議所の関与が前提です
- 公募開始の発表を見張る。経済産業省の熊本地震ページと熊本県のサイトの2か所を見ておけば、まず取りこぼしません
正直なところ、パッケージが決定してから実際に申請書を出せるまでには、まだ時間差があります。ただ、金額と補助率が公式に固まったことで、修理するか廃業するかを迷っていた人が判断に使える材料は出そろいました。最大4分の3、多重被災なら定額という水準は、待つ価値のある数字だと思います。
災害のあとに公的支援がどういう順番で立ち上がるのか、融資から補助金までの流れは前回の記事に書きました。今回のパッケージは、この記事で「あとから来る」と書いた補助金がちょうど来た形です。
関連記事: 被災した事業者が使える支援。補助金より先に来るのは融資と保証
デルカモでは、jGrantsに載っている募集中の公募を毎日同期して、業種とやりたいことから使える制度を上限額・補助率・締切つきで無料で表示しています。復旧が一段落して次の一手を考える段階になったら覗いてみてください。
本記事は2026年8月30日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。
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