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被災した 事業者が 使える 支援。 補助金より 先に 来るのは 融資と 保証
公開: 2026年8月9日 ・ 更新: 2026年8月14日

災害で店や工場が被災したとき、まず補助金を探そうとする人は多いはずです。ただ、2026年7月28日の熊本地震について国が最初に用意したのは、補助金ではなく融資と信用保証でした。8月7日には激甚災害の指定も出ましたが、復旧費用そのものを補助するお金は、8月14日時点でもまだ出ていません。
私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領や官公庁の発表を毎日読んでいます。災害のあとに公的支援がどういう順番で立ち上がるのか、今回の熊本と、先に動いている青森の例で整理します。
※この記事は8月9日に公開したあと、8月14日に激甚災害指定(8月7日)・災害関係保証の追加見込み(8月12日)・省力化投資補助金第8回の日程を追記しました。
国が 最初に 出した 5つは、 全部 お金を 借りる 話
気象庁によると、地震が起きたのは7月28日16時27分頃。熊本県熊本地方の深さ16kmでマグニチュード7.1(暫定値)、宇城市と氷川町で震度7を観測しました。8月8日10時の時点で、震度1以上の地震が572回起きています。
翌29日、経済産業省と中小企業庁が被災した中小企業・小規模事業者への支援措置を発表しました。災害救助法が適用された熊本県の10市10町1村が対象です。中身は5つ。
- 特別相談窓口の設置(日本政策金融公庫、商工中金、信用保証協会、商工会議所、よろず支援拠点など)
- 日本政策金融公庫と商工中金による災害復旧貸付等の実施
- セーフティネット保証4号の適用
- 既往債務の返済条件緩和などへの対応
- 小規模企業共済の災害時貸付の適用
読み返してもらうとわかりますが、補助金が1つもありません。借りる、保証してもらう、返済を待ってもらう、という話ばかりです。
3つ目のセーフティネット保証4号だけ補足しておきます。これは信用保証協会が融資額の100%を保証してくれる制度で、通常の保証枠とは別枠で使えます。銀行から見れば貸し倒れリスクがゼロになるので、平時なら通らない状況でも融資が出やすくなる。被災直後にいちばん効くのは、たぶんこれです。
激甚災害に 指定されて、 何が 変わったか
公開後に動きがあったので、追記します。
8月3日に内閣府が指定見込みを公表し、8月7日の持ち回り閣議で、今回の地震は激甚災害に指定されました。地域を限定しない、いわゆる「本激」です。政令は同じ日に公布・施行されています。
「激甚災害に指定」という見出しを見ると、国の支援が一段強くなったように読めます。それ自体は間違いではないのですが、このとき動いた措置は4つで、主語はどれも事業者ではありません。
- 公共土木施設の災害復旧の国庫補助率かさ上げ(過去5か年の実績平均で71%→84%)
- 農地・農業用施設・林道の復旧の補助率かさ上げ(農地は86%→97%)
- 農協・漁協などが持つ倉庫・共同作業場の復旧の補助率かさ上げ(通常20%→50%、告示市町村は90%)
- 小規模な復旧事業の地方債の特例
道路や川を直す自治体と、共同利用施設を持つ農協・漁協に効くお金です。商店や工場の復旧費を直接補助する措置は、この時点では入っていません。
事業者に直接関係する動きは8月12日に来ました。内閣府が、中小企業信用保険法による災害関係保証の特例を御船町と八代市に適用する見込みだと公表しています。災害関係保証は、通常の保証ともセーフティネット保証4号ともさらに別枠で、事業再建資金の100%を信用保証協会が保証してくれる仕組みです。借入の枠がもう1本増える、と読んでください。ただしこれはまだ「見込み」で、政令改正の手続き中です。対象の市町村も、被害状況の把握が進めば追加されることがあると内閣府自身が書いています。
もうひとつ、8月7日には特定非常災害にも指定されました。こちらはお金ではなく時間の特例です。営業許可のような有効期間のある許認可の期限延長や、債務超過になった法人の破産手続開始を一定期間留保する措置などが動きます。被災して更新手続きどころではない人のための仕組みなので、許認可の期限が近い人は頭の隅に置いておいてください。
つまり、激甚指定が出ても順番は変わっていません。先に動くのはインフラの復旧費と保証の枠で、事業者向けの復旧補助金はまだです。
復旧費用の 補助金は、 後から 来て、 長く 続く
では補助金は来ないのかというと、そうではありません。過去の大きな災害では「なりわい再建支援補助金」という名前で、施設や設備の復旧費用を国と県が補助する制度が立ち上がっています。
たとえば2024年1月の能登半島地震。富山県のなりわい再建支援補助金は、中小企業・小規模事業者なら補助対象経費の4分の3以内という手厚さで、2026年6月15日から7月3日にかけて第14次募集をやっています。発災から2年半が経っても、まだ14回目の募集が動いている。
つまり復旧補助金は「すぐには出ないが、出たら長く続く」タイプのお金です。被災した直後に見つからなくても、それは制度がないのではなく、まだ立ち上がっていないだけということがあります。
熊本については、8月14日時点でも今回の地震を対象にした国・県の復旧補助金を私は見つけられませんでした。中小企業庁の支援措置のページも、7月29日の初回発表から内容が変わっていません。熊本県は7月29日に中小企業者向けの相談窓口を設置しています。県のサイトには「被災中小企業者再建支援補助金」も載っていますが、これは昨年(令和7年)8月の豪雨を対象にした別の制度なので、間違えないでください。
見落としやすいのは、 いま申請中の 補助金の 期限延長
被災すると新しい支援策を探しがちですが、見落とされやすいのは、すでに走っている補助金のほうです。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の第7回公募は、7月31日17時に締め切られました。ところが事務局は、熊本地震で被災した熊本県内の事業者に限って、申請受付を8月14日頃まで延長しました。この延長受付は終了しています。
補助金の締切は原則として動きません。動くのは災害のときくらいです。だから災害特例の期限延長は、知っている人だけが拾える枠になります。次に災害が起きたときも、新しい支援策より先に、いま申請中の補助金の事務局サイトを見てください。
第7回に間に合わなかった人には、次があります。事務局は第8回公募を8月18日に開始する予定で、申請受付の開始は9月中旬、締切は10月中旬の予定です。申請にはGビズIDプライムのアカウントが必須なので、被災対応で手が回らない人ほど、アカウントの取得だけでも先に済ませておくと後が楽になります。
国より 先に、 市町村が 復旧補助金を 出すことがある
もうひとつ、国の動きだけ見ていると見逃す経路があります。市町村です。
青森県八戸市は、2025年の青森県東方沖地震と2026年の三陸沖地震・岩手県沖地震で被災した事業者向けに、市独自の「中小企業なりわい再建被災資産復旧事業補助金」を出しています。事業用資産の復旧にかかった経費の3分の2以内、1事業者あたり上限1,000万円、下限10万円。第二次募集の受付期間は2026年8月7日から9月30日までです。
上限1,000万円は国の制度に比べれば小ぶりですが、市が単独で判断して出せる分だけ立ち上がりが早い。国の支援策のニュースを待っている間に、自分の市の公式サイトに答えが載っていた、ということが普通に起こります。
被災したら、経産省と中小企業庁だけでなく、県と市町村のサイトも必ず見てください。この3階層は連動していません。
被災した 事業者が 見る 順番
私が同じ立場だったら、この順で動きます。
- 特別相談窓口に電話する(何が使えるかを判断してもらう場所であって、自分で調べ切る必要はない)
- 当座の資金を災害復旧貸付とセーフティネット保証4号で確保する
- すでに申請中・申請予定の補助金に災害特例がないか、事務局サイトを確認する
- 県と市町村のサイトで、自治体独自の復旧補助金を探す
- 国の復旧補助金は、数か月かけて立ち上がるものとして待つ
1から3までは今日できます。4と5は時間がかかります。この順番を逆から始めると、いちばん急ぐ資金繰りが後回しになります。
災害時は、事実確認のコストが跳ね上がります。SNSや二次メディアの情報は古いものが平気で混ざるので、制度名がわかったら必ず go.jp か lg.jp のページまで戻って、日付と対象地域を自分の目で確かめてください。この記事の数字も、すべて一次情報に当たったものです(初回公開が8月9日、追記が8月14日)。
平時の補助金の探し方については、締切から逆算する方法をこちらに書きました。
関連記事: 今から間に合う補助金はある。募集中296件の締切を数えた
デルカモでは、jGrantsに載っている募集中の公募を毎日同期して、業種とやりたいことから使える制度を上限額・補助率・締切つきで無料で表示しています。復旧が一段落して、次の投資を考える段階になったら覗いてみてください。
本記事は2026年8月14日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。
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