補助金ニュース / デジタル化・AI導入補助金 採択率
デジタル化・AI導入補助金の 採択率、 通常枠は 44.4%。 4回分を 並べた
公開: 2026年10月8日

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の4次締切分の採択結果が、2026年10月7日に発表されました。通常枠は申請1,836件に対して交付決定816件で、採択率は44.4%です。インボイス枠(インボイス対応類型)は3,536件中1,610件の45.5%、セキュリティ対策推進枠は22件中16件の72.7%でした。これから申請できるのは、10月30日17時締切の6次締切分と、12月1日17時締切の7次締切分です。
私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領や採択結果の公表資料を日常的に読んでいます。今回は、事務局が公表している1次から4次までの申請数と交付決定数を全部並べ、去年のIT導入補助金2025の8回分とも比べました。不採択の理由は事務局が通知する事項しか開示されない制度なので、公募要領に書いてある減点と加点の条件もあわせて確認しています。
4次締切分は 通常枠で 申請1,836件、 交付決定816件
4次締切分の申請締切は2026年8月25日、交付決定日は10月7日でした。事務局のサイトに載っているのは枠ごとの「申請数」と「交付決定数」で、中小企業庁はこの交付決定を採択として発表しています。この記事の採択率は、2つの数字から私が計算したものです。
枠は主に3つあります。通常枠は、会計、販売管理、在庫、給与といった業務のソフトを入れる費用が対象で、補助率は1/2以内、補助額は5万円以上450万円以下です。インボイス枠(インボイス対応類型)は会計・受発注・決済のソフトが対象で、補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円を超える部分は2/3以内。ソフトと一緒に入れるパソコンやタブレットは10万円まで、レジや券売機は20万円までが補助率1/2以内で対象になります。セキュリティ対策推進枠は、IPA(情報処理推進機構)のリストに載っている「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料が対象です。
同じ日に、複数の事業者が組んで申請する複数者連携デジタル化・AI導入枠の2次締切分も発表され、申請4件すべてが交付決定を受けました。インボイス枠のもう一つの類型である電子取引類型は、1次から4次まで申請が0件です。
通常枠は 4回とも 42〜44%台
1次から並べます。通常枠は、1次締切分が申請2,028件・交付決定891件で43.9%、2次が1,879件・819件で43.6%、3次が1,913件・807件で42.2%、4次が1,836件・816件で44.4%です。4回を合計すると7,656件中3,333件で、43.5%になります。申請の半分以上が交付決定に届かない状態が、4回続いています。
インボイス枠(インボイス対応類型)は、1次が4,324件・2,027件で46.9%、2次が3,790件・2,096件で55.3%、3次が3,982件・1,781件で44.7%、4次が3,536件・1,610件で45.5%。4回の合計は15,632件中7,514件の48.1%です。申請数は通常枠のほぼ2倍で、この補助金の申請の中心はこちらにあります。2次だけ、ほかの回より8〜11ポイント高くなっています。理由は公表資料には書かれていません。
セキュリティ対策推進枠は、4回とも71〜73%で、合計は156件中113件の72.4%です。ただし申請は1回あたり18〜88件しかなく、ほかの2枠とは桁が違います。
申請は 去年より 4割以上 減ったが、 採択率の 上げ幅は 小さい
去年のIT導入補助金2025は、8回の締切がありました。通常枠は1次締切分が2,979件中1,511件の50.7%で始まり、2次で41.2%、3次で30.4%まで下がりました。8回の合計は23,672件中8,936件で、37.7%です。インボイス枠(インボイス対応類型)は8回の合計で56,029件中25,900件、46.2%でした。
同じ1次から4次までで比べます。通常枠の申請は去年の13,093件から今年は7,656件へ、41.5%減りました。インボイス枠は28,909件から15,632件へ、45.9%減っています。一方で採択率は、通常枠が38.7%から43.5%へ4.8ポイント、インボイス枠が46.7%から48.1%へ1.4ポイント上がっただけです。
申請が減った理由は、公表資料からは分かりません。数字から言えるのは、申請が4割以上減っても、通る割合はそれほど変わっていないということです。申請が減った今年は通りやすいはず、と期待して出すと外れます。
去年との違いはもう一つあります。去年の通常枠は1次の50.7%から3次の30.4%まで20ポイント動きましたが、今年は4回とも42〜44%台に収まっています。少なくとも4次までは、どの回に出しても通る割合はほぼ同じでした。
過去に IT導入補助金を 使った 事業者は 減点される
採択率が4割台の理由を事務局は説明していませんが、公募要領には減点の条件がはっきり書いてあります。一番多くの人に関係するのは、IT導入補助金2022から2025までの間に交付決定を受けた事業者は減点、という項目です。以前この補助金でソフトを入れた事業者は、初めて申請する事業者より低い位置から審査が始まります。
ほかにも減点の条件があります。今年のインボイス枠で申請中か交付決定済みの事業者が通常枠にも出す場合、あるいはその逆の場合です。前に選んだソフトと同じ機能(会計・受発注・決済)のソフトを入れるなら、さらに減点されます。2024年か2025年に交付決定を受けたソフトと業務プロセスが重なる申請も減点で、プロセスが完全に一致する場合は不採択と明記されています。同じ業務のソフトを補助金でもう一度入れ直す申請は、通らないと考えたほうがいいです。
通常枠では、過去に交付決定を受けた事業者にだけ追加の申請要件もあります。補助金申請額が150万円未満なら、賃上げの計画は本来は加点項目です。過去に交付決定を受けた事業者の場合は、一部の例外を除いて、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばす計画を立て、従業員に表明していることが申請の条件になります。
不採択になっても、理由はほとんど分かりません。公募要領には、審査内容は開示せず、不採択理由も事務局から通知する事項以外は開示しないとあります。落ちた申請をどこから直すか迷ったら、私ならまず自分がこの減点の条件に当たっていないかを確かめます。
加点は、 締切までに 自分で できる ものが ある
加点項目は通常枠で15項目あります。全部を追う必要はなく、手間と効果で3種類に分けて見るのがおすすめです。
1つ目は、選ぶソフトで決まる加点です。通常枠では、クラウド製品を選ぶこと、インボイス制度に対応した製品を選ぶことが加点になります。インボイス枠では、3次締切分から「スマートレジ」として登録された製品を選ぶと加点になり、公募要領はこの項目を特に重視すると書いています。レジの入れ替えを考えている店なら、候補の製品がスマートレジとして登録されているかを販売事業者に聞いてください。
2つ目は、締切までに自分で済ませられる加点です。次の3つは通常枠とインボイス枠の両方にあります。
- 中小機構の「IT戦略ナビwith」を交付申請の前に実施し、結果の画面(IT戦略マップ)を申請に添付する
- 中小機構の「省力化ナビ」で、締切日までに「解決策」のPDFをダウンロードする
- 中小企業庁の「成長加速マッチングサービス」に会員登録し、締切日時点で挑戦課題が「掲載中」になっている
IT戦略ナビwithと省力化ナビは、申請に使うGビズIDプライムを入力して使うことが条件です。
通常枠には、6次締切分から中小機構の「IT経営サポートセンター」の利用も加点に加わりました。こちらは期限に注意が要ります。利用申込が2026年8月1日以降で、交付申請日以前、かつ締切日の前月末日までに利用していることが条件です。10月30日締切の6次なら9月30日まで、12月1日締切の7次なら11月30日までの利用が対象になります。
3つ目は賃上げの加点で、これは慎重に考えてください。加点を受けて採択されたのに計画を達成できなかった場合、未達を報告してから18か月間、ものづくり補助金や持続化補助金など中小企業庁の補助金に申請するときに、正当な理由が認められない限り大幅に減点されます。通すためだけに、達成の見込みがない賃上げ計画を書くのは割に合いません。
次の 締切は 10月30日17時、 その次は 12月1日
これから申請できる回は2つ公表されています。6次締切分は10月30日(金)17時締切で、交付決定は12月10日の予定。7次締切分は12月1日(火)17時締切で、交付決定は2027年1月19日の予定です。事務局は確定した回のスケジュールだけを公表していて、8次以降があるかどうかはまだ出ていません。
通常枠もインボイス枠も、申請は1事業者につき1回が原則ですが、不採択になった場合は次回以降の締切に出し直せます。4次で落ちた人は、6次か7次に間に合います。9月29日締切の5次締切分に出した人は、11月9日予定の交付決定を待つことになります。
締切の17時は厳密です。事務局は、締切時間を過ぎた場合はいかなる理由でも受け付けないと書いています。この補助金は、登録されたIT導入支援事業者(ソフトの販売事業者)と一緒に申請を作る仕組みです。申請マイページへの招待も、事業計画やITツール情報の入力も、支援事業者の側の作業なので、自分だけ急いでも間に合いません。10月30日に出すなら、販売事業者には今週のうちに声をかけておくのが安全です。
もう一つ、交付決定の前に契約、発注、納品、支払いのどれかを済ませてしまうと、補助金は受けられません。締切から交付決定までは、これまでの4回で37〜43日かかっています。6次に出すなら、契約できるのは12月10日予定の交付決定の後です。年内に入れ替えたい事情があるなら、補助金を待つかどうかを先に決めてください。
制度の全体像や、申請前に済ませておく準備(GビズIDプライムとSECURITY ACTION)は、名前が変わったときの記事にまとめています。
関連記事: IT導入補助金は2026年から名前が変わった。新制度の要点
ソフトではなく券売機や配膳ロボットのような機器を入れたい場合や、すでにIT導入補助金を使っていて減点が気になる場合は、ほかの制度のほうが合うかもしれません。デルカモでは、業種とやりたいことから、使える可能性のある制度を上限額・補助率・締切つきで無料で表示しています。
本記事は2026年10月8日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。
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