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エイジフレンドリー補助金は10月31日まで。3コースの使い分けと注意点

公開: 2026年8月15日

エイジフレンドリー補助金は、60歳以上の従業員を雇う中小企業が、職場の安全対策や熱中症対策の費用について補助を受けられる制度です。令和8年度の申請受付は10月31日まで。ただしコースによっては、実質的な期限が8月31日に迫っています。

私は補助金検索サービス「デルカモ」を運営していて、公募要領や制度の一次資料を日常的に読んでいます。この記事では、厚生労働省のリーフレットとQ&Aをもとに、対象になる会社の条件、3つのコースの中身、申請前に知らないと損をする注意点を整理します。

60歳以上の従業員が1人いれば入口に立てる

対象は中小企業事業者で、次の両方を満たす必要があります。

  • 1年以上事業を実施していること
  • 役員を除き、労災保険が適用される60歳以上の労働者が常時1名以上働いていること

中小企業かどうかは業種ごとに線引きがあります。小売業と飲食店は労働者50人以下または資本金5,000万円以下、サービス業(医療・福祉、宿泊業など)は100人以下または5,000万円以下、卸売業は100人以下または1億円以下、製造業や建設業などその他の業種は300人以下または3億円以下。労働者数と資本金のどちらか一方を満たせば対象です。

法人だけの制度ではありません。従業員を雇っている個人事業主も申請できます。ただし注意したいのは、事業主本人は労働者に数えられないことです。労災保険に特別加入している事業主も、家族従事者も、Q&Aで「労働者として認められません」と明記されています。つまり、ひとりでやっている60代の事業主や、夫婦だけで回している店は対象外です。あくまで「60歳以上の人を雇っている側」のための制度です。

個人事業主が使える制度の見分け方は、別の記事にまとめています。

関連記事: 個人事業主でも補助金は使える。対象になる制度の見分け方

3つのコースがあり、選べるのは1つだけ

令和8年度は3コース構成です。複数コースの併願はできず、補助金の交付は1事業者につき年度内1回限りです。

  • 専門家総合対策コース。労働安全の専門家によるリスクアセスメント(職場の危険の洗い出し)を受け、その結果をもとに転倒防止の設備改修や運動指導などを行う2段階構成。補助率はリスクアセスメント部分が4/5、設備や運動指導の部分が1/2で、上限は両方あわせて100万円
  • 熱中症対策コース。暑い環境で働く60歳以上の従業員のための機器導入。補助率1/2、上限100万円
  • コラボヘルスコース。健康保険の保険者と連携した健康教育や保健指導など。補助率3/4、上限30万円

いずれも消費税は補助対象外です。また審査があり、リーフレットには「全ての申請者に補助金が交付されるものではありません」と明記されています。申請すれば必ずもらえるタイプの制度ではありません。

熱中症対策コースで買えるもの、買えないもの

3コースのうち、この残暑の時期にまず見てほしいのは熱中症対策コースです。対象になるのは、屋外作業か、冷房などの温湿度調整をしてもなお室温31℃またはWBGT(暑さ指数)28℃を超える屋内作業場です。屋内の場合は「炉があって空間全体を冷やせない」のような、下回らない理由の説明が求められます。

補助対象の例を挙げます。

  • 体温を下げる機能のある服や装備。電動ファン付き作業服も対象です
  • 作業場や休憩場所に置く移動式スポットクーラー。熱排気を屋外に逃がせて、標準使用期間5年以上のものに限ります
  • アイススラリーや保冷剤を冷やす専用の冷凍ストッカー(400Lまで)
  • 深部体温を推定できるウェアラブルデバイスと、通知を集中管理できる健康管理システム

一方で、対象外のものが直感に反するので気をつけてください。事務室や作業場へのエアコン設置は対象外です。扇風機、送風機、サーキュレーターも対象外。保冷剤そのものやアイススラリー、スポーツドリンクも買えません。WBGT指数計も令和8年度は対象外です。屋根への遮熱塗装や断熱工事も認められていません。「暑さ対策に良さそうなもの」が広く使えるわけではなく、リストはかなり絞られています。

もうひとつ、補助されるのは60歳以上の従業員の人数分だけです。ファン付き作業服を全従業員分そろえたくても、補助対象は高年齢労働者の分に限られます。スポットクーラーとミストファンのように目的が同じ機器は、どちらか一方しか申請できません。

8月31日が期限なのは、専門家コースの第1段階

専門家総合対策コースは2段階に分かれています。第1段階が外部専門家によるリスクアセスメント、第2段階がその結果を踏まえた設備導入や運動指導です。このうち第1段階の申請期限が8月31日で、この記事を書いている8月15日から2週間ほどしかありません。

リーフレットの手続きの流れを見ると、第1段階は申請から交付決定まで約1カ月、第2段階は約2カ月かかるとされています。第2段階の申請自体も10月31日締切なので、いまから外部専門家ルートで進めるのは日程的にかなりタイトです。

抜け道がひとつ用意されています。外部専門家の代わりに、自社の安全衛生担当者(常時使用する労働者が10名未満なら事業主本人でも可)がリスクアセスメントを実施すれば、第1段階を飛ばして第2段階から直接申請できます。この場合の補助対象は第2段階の設備や運動指導の部分だけになりますが、8月31日の期限は関係なくなります。小規模な会社なら、現実的にはこちらの経路が本命だと思います。

交付決定前に買ったものは、1円も補助されない

この制度でいちばん事故が起きやすいのはここです。申請して、審査を経て「交付決定」の通知を受けてから発注する。この順番を守らなかった経費は、Q&Aの言葉を借りると「いかなる理由があっても」補助対象外です。猛暑の現場を見かねて先にスポットクーラーを買ってしまったら、その時点で補助は受けられません。取組完了前の前払いも認められず、ネット購入でも同じ扱いです。

審査は当月分の申請を翌月の審査委員会でまとめて行う方式で、個別の急ぎ対応はしてもらえません。熱中症対策コースは申請から交付決定まで約2カ月なので、いま申請しても機器を発注できるのは秋になってからです。正直に言えば、今年の夏の暑さには間に合いません。この制度は「来年の夏に備えて、今年度中に設備を整えておく」ものだと捉えるのが実態に合っています。導入後の実績報告と支払請求の提出期限は令和9年1月31日です。

もうひとつ、各コースには予算額が定められていて、達した場合は受付期間の途中でも締め切られます。10月31日という期限を鵜呑みにせず、出すと決めたら早く出すに越したことはありません。

申請は郵送かjGrants。代行提出はできない

申請先は「エイジフレンドリー補助金事務センター」(一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会が運営)です。提出方法は郵送(10月31日の当日消印有効)か、国の電子申請システムjGrantsの2択で、メール申請はできません。

機器の販売業者や施工業者、社会保険労務士による申請書類の提出代行は認められていません。事業者自身が提出する決まりです。販売業者が「申請はうちでやります」と持ちかけてくるケースは想定されているようで、Q&Aにわざわざ禁止と書かれています。書類作成の相談はともかく、提出まで業者任せにする話には乗らないでください。

過去にこの補助金を受けたことがある場合は、同一の対策では再度受けられませんが、別の対策なら申請できます。昨年度まで対象だった取組が今年度は対象外になっていることもあるので(安全標識の設置や防滑靴などは対象外が続いています)、申請前に必ず令和8年度版のリーフレットとQ&Aで確認してください。

エイジフレンドリー補助金のように、労働環境や安全対策に使える制度は、売上拡大系の補助金に比べて存在が知られていないまま締切を迎えがちです。私が運営しているデルカモでは、jGrantsに掲載される公募約300件を毎日同期して、業種と目的から使える制度を無料で探せるようにしています。自分の会社が使える制度を取りこぼしていないか、確認の入口に使ってみてください。

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本記事は2026年8月15日時点の官公庁の公表資料・公募要領・jGrants掲載情報に基づいています。締切・金額・要件は変更されることがあるため、申請時は必ず公式の最新情報をご確認ください。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。

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