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記入例ライブラリ / ものづくり補助金

ものづくり補助金の事業計画書の書き方 — 審査項目に沿った構成と記入例

最終更新: 2026-07-20

上限が大きいぶん、事業計画書の要求水準も高いのがものづくり補助金です。この記事では第23次公募要領に基づいて、計画書の形式・構成・審査の観点を整理し、精密板金の町工場を例にした架空の記入例を添えました。次回公募に今から備える人向けです。

この記事の記入例はすべて架空の事業者のものです。この補助金には代表者本人だけで受ける口頭審査があるため、計画書は「自分の言葉で書けること」が他制度以上に重要です。

いまは公募と公募の間 — 準備期こそ差がつく

2026-07-20時点で、この補助金は受付中の公募回がありません(第23次は2026年5月8日締切で受付終了、次回は未発表)。「募集していないなら関係ない」ではなく、逆です。採択される計画書は公募期間の1〜2ヶ月で書き上がるものではありません。公募の谷間である今こそ、数字の棚卸しと構想づくりに使える時間です。

制度の基本情報

制度名
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
公募状況
第23次公募は受付終了(採択発表2026年8月上旬予定)。第24次以降は未発表
補助上限
製品・サービス高付加価値化枠: 750万円(従業員1〜5人)〜2,500万円(51人以上)。大幅賃上げ特例で最大3,500万円/グローバル枠: 3,000万円
補助下限
補助下限100万円
補助率
中小企業50%・小規模企業者/小規模事業者/再生事業者66.7%(最低賃金引上げ特例の適用で66.7%)
対象者
中小企業・小規模事業者(常時使用する従業員1人以上)。革新的な新製品・新サービスの開発が必須
対象経費
機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
スケジュール
第23次: 公募2026年2月6日〜5月8日17:00締切(受付終了)。次回公募のスケジュールは公表され次第、公式サイトに掲載
本記事の内容は第23次公募要領に基づきます。次回公募では枠・金額・要件が変わる可能性があるため、公募開始後は必ず最新の公募要領をご確認ください。あなたの条件で使える制度は無料診断でも確認できます。

先に知るべき基本要件 — 賃上げは返還義務つき

計画書を書き始める前に、この補助金が課す3つの基本要件を理解してください。数字のコミットメントを伴う制度です。

  • 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を事業終了後3〜5年で年平均3.0%以上増加させる計画
  • 1人あたり給与支給総額を年平均3.5%以上増加 — 未達の場合は返還義務
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上に毎年維持 — 未達の場合は返還義務

つまりこの補助金は「設備をもらう」制度ではなく、「設備投資で生産性を上げ、その成果を賃金に回す」ことへの投資です。この構造ごと計画書に落とし込めているかが、審査全体の底流になります。

事業計画書の形式 — 直接入力+PDF5枚ルール

現行制度の計画書は、Wordで自由に書く方式ではありません。本文は電子申請システムに直接入力し、図・写真など補足資料だけをA4サイズ5ページ以内のPDFで添付します。

  • 補足PDFは空白ページも1枚とカウントされます
  • 5ページを超えたPDF、本文をPDFで代替する提出は審査対象外(不採択)と明記されています
  • ネットで見つかる旧制度の「その1・その2・その3」形式のテンプレートは現行制度には存在しません。古い解説記事を参考にしないでください

PDF5枚は「文章の続き」ではなく図解の枠と考えてください。設備の写真・工程のビフォーアフター図・市場データのグラフなど、文章では伝わりにくいものに使うのが定石です。

計画書の構成 — この順で書く

公募要領の記載ポイントに沿うと、構成は次の一本道になります。事業計画書の共通構造で解説した「現状→課題→解決策→効果」の、ものづくり版です。

  1. 外部環境・内部環境の分析 — 市場で何が起きているか、自社の強み・弱みはどこか
  2. 中長期ビジョンと経営課題 — 3〜5年後にどうなりたいか、何が障害か
  3. 課題の解決策と本事業の必要性 — なぜこの設備投資がその解決策なのか
  4. 設備投資の内容と取組の詳細 — 導入設備(型番まで)・実施体制・スケジュール
  5. 革新性(次章で詳述)
  6. 想定ユーザー・市場規模・優位性・収益性 — 誰に・どれだけ売れるのか
  7. 成果目標と算出根拠 — 本事業の売上が会社全体の売上に占める見込みと、その計算過程
架空の記入例環境分析→課題→解決策のつながり(架空の精密板金加工業の例)

【外部環境】主要取引先の産業機械メーカーでは開発サイクルが短期化し、試作部品を「3日以内」で求める引き合いが増えている。当社への試作依頼は年間約120件あるが、現状の段取り工程がネックで納期7日を要し、約3割を失注している。【課題】試作対応のリードタイム短縮が、受注拡大の最大の障害である。【解決策】ファイバーレーザー複合機と自動プログラミングシステムを導入し、段取り時間を大幅に短縮。「3日納期の試作特化サービス」を新たに立ち上げ、失注していた短納期需要を取り込む。

いちばんの山場「革新性」の書き方

高付加価値化枠は「革新的な新製品・新サービスの開発」が必須です。ここで多くの計画書が「最新設備を導入する=革新的」と書いて失敗します。革新性は設備ではなく、提供価値の新しさで語ります。

  • × 「最新のレーザー加工機を導入し生産性を高める」 — 設備の自慢は革新性ではありません
  • 「設備×自社の技術で、これまで市場になかった◯◯(納期・精度・サービス形態)を実現する」 — 自社や地域・業界にとっての新しさを、根拠つきで

「同業他社はまだやっていないのか」「なぜ自社ならできるのか」に答えられる材料(競合の納期相場、自社の保有技術・実績)を添えると説得力が出ます。

審査項目と口頭審査

書面審査の項目は①適格性 ②経営力 ③事業性 ④実現可能性 ⑤政策面(大幅賃上げ特例の利用者は加えて⑥賃上げ計画の妥当性)。書き終えたら、この5項目を採点表として自分の計画書を読み返してください。

そして現行制度の大きな特徴が口頭審査です。一定基準を満たした申請者を対象に、オンライン(Zoom等)で30分程度、法人代表者本人1名のみが受けます。作成支援者・コンサルタント・顧問の同席は不可。カメラONで本人確認もあります。

これが意味することはシンプルです。計画書は、代表者が自分の言葉で全ページ説明できる状態で提出する。他人任せの計画書は、書面を通っても口頭審査で崩れます。

なお加点項目(経営革新計画・パートナーシップ構築宣言・事業継続力強化計画など)は公募要領に一覧があります。取得に時間がかかるものが多いため、これも公募の谷間である今のうちに仕込む価値があります。

よくある質問

次の公募はいつですか?
第24次以降のスケジュールは2026年7月20日時点で未発表です。公式サイトで公表され次第確認できます。過去の公募は概ね数ヶ月おきに実施されてきたため、次回公募を狙うなら今から事業計画の材料集め(現状の数字の棚卸し・見積取得・要件の確認)を始めるのが現実的です。
古い機械の入れ替えだけでも申請できますか?
できません。この補助金は「革新的な新製品・新サービスの開発」が必須要件で、既存業務の改善だけ、新製品開発を伴わない機械導入だけでは対象外と公募要領に明記されています。設備更新が目的なら、省力化投資補助金など他の制度の検討をおすすめします。
コンサルタントに計画書を書いてもらってもいいですか?
報酬を得て申請書類を作成できるのは行政書士だけです(行政書士法)。さらにこの補助金には口頭審査があり、対象になった場合は法人代表者本人1名だけがオンラインで受け答えします。作成支援者やコンサルタントの同席は認められていません。他人に書いてもらった計画書は、ここで確実に露呈します。
賃上げ要件を達成できなかったらどうなりますか?
給与支給総額の要件(年平均3.5%以上増)と事業場内最低賃金の要件(地域別最低賃金+30円以上)は、未達の場合に補助金の返還義務が定められています。一方、付加価値額の要件(年平均3.0%以上増)には返還義務はありません。賃上げ計画は「審査を通すための数字」ではなく、実際に払える計画として設計してください。

その設備投資、他の制度も使えるかもしれません。

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本記事の記入例はすべて架空のものです。制度情報は2026-07-20時点の第23次公募要領・公式公表資料に基づいており、次回公募では変更される可能性があります。最新の公募要領が常に優先されます。デルカモは申請書類の作成代行は行いません(行政書士法遵守)。